事業成果を出す組織を作るの実績紹介

実績紹介(森のチームビルディング研修(スマート・フォレスト様主催 ))

■ 研修概要

森のチームビルディング研修(株式会社スマート・フォレスト様主催)

場所:檜原村(高尾)

お客様概要:外資系企業約50名

お客様要望:在宅が多く、普段お互いの人となりを知る機会がないため、対面での作業を通じてチームの信頼関係を深めたい。

当方役割:外部講師(ファシリテーター)

 


当方では、個人・法人のお客様に対して、セミナーをご提供しています。その中で、株式会社スマート・フォレスト様主催のチームビルディング研修に外部講師(ファシリテーター)としてお誘いいただき、参加してきましたので、共有させて頂ければと思います。

スマート・フォレスト様の研修は非常に面白く、木々を使ってベンチを作ることでチームビルディング(チームが組まれ、衝突を経てチーム形成していくプロセス)を疑似体験し、日々の業務にも活かしてもらうというものです。

まず前半は山の中を散策しながら、専門家から木や林業について簡単にレクチャ―頂きます。私も初めて知ったのですが、高尾の山々は昔全て木を伐採してしまい、すべて禿山になってしまったそうで、そこから地元の方が手作業で植樹されたそうです。今となってはこんなに青々と木々が成長していますが、今度は間伐作業の人材が不足してしまい、栄養が一本一本の木に行き届かず、現在では売ることができないような細い木々になってしまっているとのこと。何事もバランスが難しいんですね。日本は木々に覆われている本当に自然豊かな国で、山や水源の秩序は木々が保ってくれています。本当にこの豊かな自然が維持されていくことを願います。

そして、午後は、いよいよベンチ作りです。

5~6人で一つの班を作り、役割分担やコンセプト作りから決めていってもらいます。ここでのポイントは、資材や道具に限りがあるため、作り始めると当初のコンセプトではうまくいかないところが必ず出てきます。そのため、作りながら設計やコンセプトを修正していく必要があり、その辺りのコミュニケーションと全体統制をどのように追っていけるかが肝となります。

このような状況では、あまりにも個人プレーや好き勝手に作業する人がいると、ベンチはたちまちチームの総意とはかけ離れたものになってしまいます。皆のイメージから離れすぎず、ここまでなら変えてもいいよねと納得できる範囲を探りながら調整をしていくことになります。

そして、この調整のプロセスが班ごとに全く異なっていたのが個人的にも気づきになりました。つまり、コンセプトを全体で決めたはずでも個人が脳内にイメージしている完成図が一人一人異なるということです。

ベンチだとイメージしやすいですが、なぜか日々の業務の中だとこの「完成形のイメージの相違」を見落としてしまいます。折角進めてしまったのに後から修正されたり、顧客からやり直しを食らったりという経験は誰しもあるのではないでしょうか。分業体制の中では、メンバーの人数が増えれば増えるほどイメージのずれが発生しますので、その修正に手間を惜しまないことの重要性に改めて気付かされました。

 

 

 

そして、ベンチ作りが終了した後は、ベンチが完成するまでのプロセスを振り返って頂きます。

ベンチ作りの最中は皆さん熱中しており、目の前のベンチを完成させることに集中していますので、チームのことを考える余裕などない場合が多いですが、焚火を囲み、コーヒーを飲みながらリラックスした環境で振り返ってもらうと、自分たちの行動やチームワークを内省することができます。

この振り返りの時間が重要で、私含め複数人のファシリテーターが進行役として入り、問いを投げかけることで改めてチームビルディングに意識を向けて頂きます。

今回のお客様は、日々一緒に作業しているメンバーで班を作ったとのことで、意志疎通が非常にスムーズに取れていました。皆様積極的に働いており、自分ができそうなことをいち早く見つけてチームに貢献していました。そのプロセスを振り返っている中で、「いつも阿吽の呼吸で仕事ができているんだなということに気付けた」と仰っている方がいました。いちいち確認しなくても、「この人だったらこのレベルの仕事はこなしてくれる」だろうという信頼は、仕事の質とスピードに非常に関わります。今回の研修で背中を預けられる仲間に気づけたことは、今後の業務においても非常に大きなアドバンテージになると思います。

また、チームビルディングでは意見がぶつかり衝突する時間をどのように捉えるかということが重要だと私は考えています。ベンチ作りでいうと、コンセプト作りと作業中の方向転換がこれに当たります。心理的安全性、というと平たい言い方になってしまいますが、考えを発言すること、他人の意見とのバッティングを恐れないこと、チームにとって最善の策か否かを客観的に判断することはチーム強化に非常に重要です。成果が出たあとにこの時間を冷静に振り返えると、どのくらいの加減で人と意見をすり合わせるとアイディアが転がっていくか(強すぎても弱すぎてもだめ)が意識できるようになると思います。

普段の業務では、成果が出た後はプロジェクトの動きなどを反省する時間はないと思いますので、ベンチ作りは疑似体験としてよいトレーニングだと思います。

 

 

私は組織を作る立場として、分業について深く学んでいます。付加価値を作るためには一人で事業をやるよりも、人々が集まって分担を決め、その集合体として企業活動をした方が、何倍もの成果を出すことができるからです。つまり、分業を上手くコントロールできる方が組織力を強めることができるのです。

分業というのは一連の流れをメンバーで分けることなので、作業の前後でメンバー同士の調整が必要になります。ですが、昨今では在宅や時短勤務等の働き方が多様になり、全員が顔を合わせずとも働けるようになりました。それはそれで良い側面もありますが、チームで一つのものを作るという実感が以前より減っています。このような研修が人気なのは、その疑似体験をすることで、人と協働するという人間の感覚を取り戻すことができるからなのかもしれません。研修が終わった後の皆様の晴れ晴れした様子を見て、「協働」を実感いたしました。

ご参考に、分業については下記書籍が非常に参考になりますので、ぜひご一読頂ければと思います。

 

書籍紹介(ハイアウトプットマネジメント)