事業成果を出す組織を作るの実績紹介

書籍紹介「経営組織」(安藤史江、稲水伸行、西脇暢子、山岡徹)

■書名:「経営組織」

■著者:安藤史江、稲水伸行、西脇暢子、山岡徹

■出版社:中央経済社

■どんな人向けか:リーダーが知るべき組織のメカニズムやダイナミクスを知りたい人、自分の組織を良くするために論理を身に付けたい人、経営組織論の読みやすい本を探している人

 


人事コンサルタントが立ち戻る理論の教科書

私は人事コンサルティングをしていますが、ただの人事制度屋ではなく、組織が成長するところまで責任を持つことを信念としています。そもそも、人事とは手段であり、本来の目的は事業成長できるような組織を作ることです。その目的を果たすために機能が分かれて採用・教育・制度・人件費管理などに分かれて分担しているにすぎません。

そのため、組織の勉強については常に怠ってはいけないと考えています。事業と組織は経営の両輪と考えられていますし、いくら良い事業を提供しているとしても組織がついてこなければ水の泡です。しかも難しいことに、組織は生ものであり再現性が低い。良いマネージャーが別の企業でもそのマネジメント能力を発揮できるかと言われたら、メンバーや担当部署、役割や顧客が異なる中で、リーダーシップを発揮できるかは分かりません。

これだけアドリブ要素が強いマネジメントを司らなければならないのですから、組織を作る立場にいる人は少しでも理論を叩き込んでおくべきと思っています。そこで、本書「経営組織」を今回お勧めします。

チームの大小にかかわらず、組織を引っ張るリーダーはただ指示を出せばよいのではありません。特に経営まで上位層から会社全体を引っ張るとなると、組織の構造から部下のメンタルまで、「組織」に影響をもたらすあらゆる要素を頭に入れておく必要があります。複雑すぎて面倒くさいと感じてしまう人もいるかもしれませんが、私はそれは勿体ないと思っています。折角これだけ関連要素があるのであれば、それを活用しない手はないのです。

例えば、本書にモチベーションというテーマが出てきますが、「人のモチベーションなんて人それぞれじゃん」と言ってしまったらそれは解像度が少し低いと思います。モチベ―ションの基礎を知っているリーダーと知らないリーダーで、率いる組織の雰囲気や成果の達成度が変わるのであれば、モチベーションが湧き出る理論を学び、少しでも組織作りに活かしてみてもよいと思います。

また、経営者に必要なリーダーシップですが、学んでいる人をあまり見たことがありません。しかし、本当に何も学ばずしてリーダーシップを発揮できるのでしょうか。本書の中にも出てきますが、「仕事ができるから部下がついてくる」、もしくは「ポジションに就いているから部下がついてくる」ことはないと言う話が出てきます。言い換えれば、「社長だからリーダーシップがある」「事業部長だから部下が言うことを聞く」というポジションありきのリーダーシップはあり得ないのです。

ということは、逆に言うと勉強すべき「リーダーのスキル」「リーダーの知識」というものがあるということで、リーダーシップを発揮するには、先天的な才能ではなく後天的な知識で決まるとも言えます。これらは実務で習得することは非常に難しく、業務とは別に時間を作って理論を学ばなければ一生身につくことはありません。世のMBAはそのためにあるのだと思っていますが、本書は大学の教科書として使用されているもので、読みやすくかつ全体を網羅できますので、経営層に就いている方やそこをめざされる方、リーダーとして部下を持っている方はまずこちらで学んでほしいと思います。

 


モチベーション、意思決定、生産性、リーダーシップ…リーダーの視野の広さとは

各企業は組織をどのようにまとめていくかを常に試行錯誤おり、様々な制度やルールが組織の中に敷かれています。その制度やルールが、なぜ組織にとって良い影響を与えるのか、という根拠部分は実は導入した部署でも深く理解していないことがあります。

私は人事制度のご支援をしていますので、ここでは目標管理制度を例に取ってみます。

MBOと言われる目標管理制度は多くの企業に導入されています。しかし、なぜメンバーに目標を立てさせるのか、それをなぜ上長が面談で管理するか。理由を説明できますか?

本書によると、メンバー一人一人が目標を立てることは様々なメリットがあると言います。例えばモチベーション。人は何かを行動の前に、動かされる動機があります。ということは、動機がない行為はしないことになり、動機があれば自ら行動することになります。

目標を立てることは、社長の目標の一部が分割されて自分の目標となることで動機がもたらされます。ここで進行方向を揃えておくことで、その目標達成のための行為は他人(社長)のためにやるのではなく、自分の目標を達成するためという動機が生まれます。もちろん、ここには報酬の連動が必要ですが、それだけではなくこの社長の目標(会社の目標)と個人の目標の連続性を接続するものが目標設定制度になるわけです。これは、内的動機を高めるとも言い換えることができます。

ここでのポイントは、リーダーが「制度だから」とか、「会社がやれと言うから」とくれぐれも部下に言ってはいけません。

なぜかというと、目標管理制度はモチベーションを高めるための施策なので、部下のモチベーションを下げるような説明は目標管理制度を運用する上では不利だと、理論を学んでいれば分かると思います。面談でのリーダーの振る舞いも同様です。理論を学ぶと、「リーダーのモチベーションを引き出すことがリーダーシップはどのようにふるまえばよいのか」が分かります。部下はリーダーにリーダー然としていてほしいのです。社長であれ、部門長であれ、そのポジションに立つということは、それを支える土台を作らねばなりません。

 

目標管理制度の全体図(IGNITE HORIZON作成)

目標管理制度の全体図(IGNITE HORIZON作成)※この図が示すのは、社長の想いを個人の動機へ『翻訳』するプロセスです

そして、この部下の目標が達成できるように引き上げるのが上長の役目、つまりリーダーシップになります。そこから派生して組織の内部の分担を考えれば生産性を高める活動は日々必要ですし、リーダーが担う役割の大きな部分を占める意思決定、部署同士がぶつかり合うコンフリクトなど、日々の業務で理解しておくと得するような理論が満載です。

一つ一つの理論を見ると独立しているように思いますが、それぞれの理論はすべてつながっています。そして、今回通読してみて改めて経営者・リーダーなど、チームの上に立つような方たちは頭に入れておいてほしいものばかりだと思いました。現場で実践することが無いと侮ることはできない。人を動かすのに理論は必要です。

具体的な一つ一つの理論については、また別記事で解説していきたいと思います。

 

何が評価されているかわからない虚しさ

複数のご支援先にて従業員面談を立て続けに実施しました。そこで、どの企業様でも共通して出てきた話があります。人事制度が上手く機能していない企業様では「何が評価されているのか分からない」「自分は会社に貢献できているか実感がない」という声が多く寄せられました。

中小企業は従業員数が少ないので、一人一人の重さが大きく、一人辞めれば死活問題です。それでも、このような意見が多数出てくるということは、やはり人間は自分が貢献できているかを確認したい生き物なのだなと思います。

では、なぜそれほどまでに「貢献の実感」が持てないという声が現場から上がってくるのでしょうか。

評価制度は、人間が根源的に抱えるこの「切実な願い」に応えるための装置であるべきだと考え、本本記事では、心理学的な「貢献欲求」の観点から、組織力を蘇らせる評価制度の本質を解説します。

 


チームに貢献できているか確認したい

太古の昔から、人間は小さな集団で生活をしてきました。そこでは、自分がいかにこのチームに貢献しており、いかに必要な人材になるかということがその集団での生存戦略だったと言えます。

現代の日本においては、その集団は会社であり、さらに小さな集団は自分の部門ということになります。自分は本当に、この場所で必要とされているのか。 従業員は常にこの問いに対する「確信」を求めています。

私は人事制度のご支援をさせて頂く中で、人間の「貢献したい気持ち」と「貢献していると確認したい気持ち」がいかに組織に作用しているかを実感するようになりました。つまり、この気持ちを上手く扱えているかどうかが従業員の定着に大きく関わっていると思います。

まず若手についてですが、若手については明確です。若手の離職に悩まれている企業様では、「あなたの貢献度」や「将来への期待」を伝えられていないことが非常に多いです。つまり、「将来への期待」を言葉にできていないケースが目立ちます。1on1のような面談をやっていても、そこに意思のキャッチボールを取るコミュニケーションがない場合も見られます。よくあることではありますが、しっかり時間も取って打合せはしていても、核心について話している時間が短いこともあります。これでは、折角業務の合間をぬって打合せしても意味が薄くなってしまいます。

その中で意外と見落とされがちですが、実はこの問いは長年その企業を支え続けてきたキーマンやベテラン社員の方からも話が出ます。私は組織診断で実施する従業員面談において、何度もこの話を伺ってきました。

キーマンの方は、自分のスキルアップや給与アップといった個人的なフェーズを超え、「会社全体の底上げ」や「伝統の継承」に意識が向いています。そのため、自分自身ではなく、自分が自発的に取り組んでいる施策が社内で重要視されていないことに関しては、虚しさを感じていることがあります。ここに社長様が気付いていないことも多いように私は感じており、社長様とキーマンの面談に私が同席することもあります。

そしてベテランの方々。この方々は会社の過去を担ってきた人たちです。新しい事業を始めようとしたり、新しいやり方を取り言えれようとすると、ベテランが阻止してくるという話も伺います。ベテラン勢が新しい変化に反発するのは、変化を嫌っているからだけではありません。「自分のこれまでの貢献(過去)が否定されるのではないか」という恐怖の裏返しでもあります。しかし、私が感じることはベテランこそ会社への愛着と帰属意識があるのです。この方たちが会社の良いところを支えているとも言え、会社の経歴を語ってくれることが伝統として未来につながっていくため語り手として重要な役割はあると思います。

そこで、「キーマン・ベテランにこそ評価をフィードバックしてあげてください」と社長様にお伝えしています。それは、良いことばかりフィードバックするものではありません。会社の中にずっといたからこそ、外の動きに鈍いこともあります。会社が今までと異なることをやろうとすると反発もあるでしょう。あなたの過去の働きっぷりを否定するものではない。過去の貢献に感謝しつつ、今後やってほしいことをきちんと伝えていくことは会社側の義務だと思います。

 


貢献したい気持ちを満たす昇格審査

「貢献したい気持ち」と「貢献していると確認したい気持ち」。この欲をきちんと満たすことができれば、従業員はその組織に意思をもって所属してくれると思います。逆に言えば、これらが確認できない組織からは従業員は離れていってしまうということです。

評価制度はそのメッセージを伝える唯一の方法だと思います。それはつまり、評価制度を運用できていない企業様においては、「あなたはこの組織に必要です」というメッセージを伝える術が他にほとんどありません。使わない手はないのです。

そのためにやるべきは、評価制度をきちんと運用し、評価の高い従業員を「昇格審査」をすることで役職に就くための選抜をすることです。審査を通ることは、多かれ少なかれ従業員にとって嬉しいことです。任命してもらったんだから責任を果たそうという気持ちが湧いてくるはずです。

当社で提案している管理職昇格審査の案です。

上記資料は当社で提案している昇格審査のサンプルです。特に、管理職に上がるときは大きな変化になりますので、できる範囲で構いませんが必ず審査を実施した方がよいと言うのが私の意見です。

ここを省略してしまうのは、上記の「あなたの貢献度」を伝えるタイミングを逃してしまうので、非常に勿体ない。機会の有効活用をしてほしいと思います。

 

 

 

等級制度についてはこちらの記事を御覧ください。↓

等級制度は人材育成の概観図

報酬制度(賃金)についてはこちらの記事を御覧ください。↓

基本給の個性