2025年07月21日
離職に悩む企業様で、「従業員がこの会社で納得して働いてもらうために、まずは評価の仕組みから…」というお話をよく聞きます。「従業員が頑張ったところを評価してほしいと思っている」という課題は、企業様でも持ち合わせているものになります。
評価については、企業様でもイメージがしやすく、かつ従業員からも声が上がりやすいので、そこに課題を持っている社長様は多いように思います。
実は、評価制度から作るのは制度が失敗する要因です。
ではどこから手を付ければよいか。離職を食い止めるために何から始めるべきか。それは、「等級制度」の構築から始めるべきなのです。「等級制度」とはその企業様の人材育成の設計図だからです。
人事制度構築は、まずは等級制度から
一般的に、人事制度と言うときは等級制度、報酬制度、評価制度の3つの制度を指します。そして、人事制度を一から作る際は「等級制度」から作っていきます。
皆さんが一番イメージしやすいのは「評価制度」だと思います。上長と目標を決め、その目標の達成にむけて査定期間中に取り組み、査定期間終了後に上長と評価をすり合わせる。各上長が査定した評価は、全体会議にかけられ社内で相対的な調整が入り、評価が決定する。この評価制度のプロセスをやっている方も多いのではないでしょうか。
そのため、「まずは評価制度から」と評価制度構築についてご連絡頂くこともあるのですが、私は、評価制度は一番最後に決めた方がよいと考えています。人事制度の根幹は「等級制度」であるため、等級がない状態で報酬や評価の仕組みをいじると制度の一貫性が保てなくなります。いくら人事制度が設計3割、運用7割と言われているとしても、この等級制度に限っては設計ですべて決まると言っても過言ではないため、人事制度の起点であり根幹となるわけです。
以下が人事制度設計のフローです。
等級制度・報酬制度は事前設計によって決まるもの、評価制度は運用と定着が必要なものであり、両者の性質は少し異なることが分かって頂けると思います。

自社の育成ステップをどこまで解像できるか
では、どうやって等級制度を作っていくか。
「等級」とは、その会社のステップアップする階段です。新卒で入社した者が役員になるまでどのようにステップを踏んでいけばよいか、各等級での役割、次の等級に上がるための要件といった階段を上がるための条件を決めていきます。そして最終的には、どのような人材が役員に就任できるのかというところまで構築します。(これを従業員にどこまでオープンにするかは別議論が必要です。個人的にはすべてオープンにしても問題ないと考えていますが、組織の事情によっては一部オープンにしていきます)
ということは、構築のために必要な作業は「洗い出し」と「組立」です。
洗い出しでは、
①従業員の現状のレベル
②業務・タスク
③階層と部署
④マネジメント層
この4つの観点から抽出を行います。この4つの分析ポイントは、等級が組織と業務に密接に関わっていることから私が設定しているものです。
①は人事制度導入前の事前準備の段階で従業員面談を実施しますので、そこでインプットにすることができます。
意外と忘れがちなのは②かと思います。今、全社の中にどのような業務・タスクがあり、どの部署が担っているのかを洗い出します。こちらもアンケート、必要に応じて面談でのヒアリングとなります。業務・タスクは取り組んでいる本人しか分からないため、聞いて回るしか情報を集める方法はありません。
③④は組織に関わる部分です。階層と部署は②で集めた業務がどのように全社の中で散らばっているかを見てみます。具体的に取り組んでいる担当者と紐づけてみると、業務のレベル・難易度が分かります。すると、コア部署に本当に重要な業務が配置されているか、分担が上手くいっているかというところが見えてきます。④は現在のマネジメント体制について確認します。組織の要はマネジメント層です。③の業務分担がどのようにチームへと枝分かれいているか、末端の従業員までしっかり指示や分担が落ちているかという指示系統を見ます。部署によりマネジメントの難易度が異なるケースもあるでしょう。
このような情報をつぶさに集めてから、初めて等級を組み立てることができます。
組立では、役員までの成長ロードマップを描きます。ただし、現在の状態からかけ離れた夢物語な等級を組むことはできないため、プロジェクト内で慎重に確認しながら組み立てていきます。役職と等級の組み合わせも重要になりますので、どこで昇格地点がくれば従業員のモチベーションにつながるかを想像していきます。しかし一方で、現状通りの等級をそっくりそのまま組み立てても組織の成長につながらず、意味がない訳です。この現状と理想の間を取った微妙な塩梅でビジョンまでの成長を描くことが等級構築では求められます。
等級制度とは従業員の成長概観図です。
上長から見た時には人材育成の概観図になります。両者が同じ地図を広げることで、成長と育成の方向性や課題認識がずれないようにできるということです。
「今の会社に、次世代を育てるための地図はありますか?」
社長であるあなたの目には、誰がエースで、誰が次代を担うかはっきりと見えているはずです。しかし、その「確信」が組織全体の共通言語になっていない限り、現場は迷子になり続けます。
評価制度という「結果」を追いかける前に、まずは「人材育成の設計図」をつくりませんか。
何となくの運用で、優秀な人材の芽を摘んでしまう前に。貴社の「組織の現在地」を一緒に診断し、永続する会社の土台となる設計図を書き上げましょう。
カテゴリ:ブログ,人事制度(等級制度),人材育成




