2026年04月06日
複数のご支援先にて従業員面談を立て続けに実施しました。そこで、どの企業様でも共通して出てきた話があります。人事制度が上手く機能していない企業様では「何が評価されているのか分からない」「自分は会社に貢献できているか実感がない」という声が多く寄せられました。
中小企業は従業員数が少ないので、一人一人の重さが大きく、一人辞めれば死活問題です。それでも、このような意見が多数出てくるということは、やはり人間は自分が貢献できているかを確認したい生き物なのだなと思います。
では、なぜそれほどまでに「貢献の実感」が持てないという声が現場から上がってくるのでしょうか。
評価制度は、人間が根源的に抱えるこの「切実な願い」に応えるための装置であるべきだと考え、本本記事では、心理学的な「貢献欲求」の観点から、組織力を蘇らせる評価制度の本質を解説します。
チームに貢献できているか確認したい
太古の昔から、人間は小さな集団で生活をしてきました。そこでは、自分がいかにこのチームに貢献しており、いかに必要な人材になるかということがその集団での生存戦略だったと言えます。
現代の日本においては、その集団は会社であり、さらに小さな集団は自分の部門ということになります。自分は本当に、この場所で必要とされているのか。 従業員は常にこの問いに対する「確信」を求めています。
私は人事制度のご支援をさせて頂く中で、人間の「貢献したい気持ち」と「貢献していると確認したい気持ち」がいかに組織に作用しているかを実感するようになりました。つまり、この気持ちを上手く扱えているかどうかが従業員の定着に大きく関わっていると思います。
まず若手についてですが、若手については明確です。若手の離職に悩まれている企業様では、「あなたの貢献度」や「将来への期待」を伝えられていないことが非常に多いです。つまり、「将来への期待」を言葉にできていないケースが目立ちます。1on1のような面談をやっていても、そこに意思のキャッチボールを取るコミュニケーションがない場合も見られます。よくあることではありますが、しっかり時間も取って打合せはしていても、核心について話している時間が短いこともあります。これでは、折角業務の合間をぬって打合せしても意味が薄くなってしまいます。
その中で意外と見落とされがちですが、実はこの問いは長年その企業を支え続けてきたキーマンやベテラン社員の方からも話が出ます。私は組織診断で実施する従業員面談において、何度もこの話を伺ってきました。
キーマンの方は、自分のスキルアップや給与アップといった個人的なフェーズを超え、「会社全体の底上げ」や「伝統の継承」に意識が向いています。そのため、自分自身ではなく、自分が自発的に取り組んでいる施策が社内で重要視されていないことに関しては、虚しさを感じていることがあります。ここに社長様が気付いていないことも多いように私は感じており、社長様とキーマンの面談に私が同席することもあります。
そしてベテランの方々。この方々は会社の過去を担ってきた人たちです。新しい事業を始めようとしたり、新しいやり方を取り言えれようとすると、ベテランが阻止してくるという話も伺います。ベテラン勢が新しい変化に反発するのは、変化を嫌っているからだけではありません。「自分のこれまでの貢献(過去)が否定されるのではないか」という恐怖の裏返しでもあります。しかし、私が感じることはベテランこそ会社への愛着と帰属意識があるのです。この方たちが会社の良いところを支えているとも言え、会社の経歴を語ってくれることが伝統として未来につながっていくため語り手として重要な役割はあると思います。
そこで、「キーマン・ベテランにこそ評価をフィードバックしてあげてください」と社長様にお伝えしています。それは、良いことばかりフィードバックするものではありません。会社の中にずっといたからこそ、外の動きに鈍いこともあります。会社が今までと異なることをやろうとすると反発もあるでしょう。あなたの過去の働きっぷりを否定するものではない。過去の貢献に感謝しつつ、今後やってほしいことをきちんと伝えていくことは会社側の義務だと思います。
貢献したい気持ちを満たす昇格審査
「貢献したい気持ち」と「貢献していると確認したい気持ち」。この欲をきちんと満たすことができれば、従業員はその組織に意思をもって所属してくれると思います。逆に言えば、これらが確認できない組織からは従業員は離れていってしまうということです。
評価制度はそのメッセージを伝える唯一の方法だと思います。それはつまり、評価制度を運用できていない企業様においては、「あなたはこの組織に必要です」というメッセージを伝える術が他にほとんどありません。使わない手はないのです。
そのためにやるべきは、評価制度をきちんと運用し、評価の高い従業員を「昇格審査」をすることで役職に就くための選抜をすることです。審査を通ることは、多かれ少なかれ従業員にとって嬉しいことです。任命してもらったんだから責任を果たそうという気持ちが湧いてくるはずです。

当社で提案している管理職昇格審査の案です。
上記資料は当社で提案している昇格審査のサンプルです。特に、管理職に上がるときは大きな変化になりますので、できる範囲で構いませんが必ず審査を実施した方がよいと言うのが私の意見です。
ここを省略してしまうのは、上記の「あなたの貢献度」を伝えるタイミングを逃してしまうので、非常に勿体ない。機会の有効活用をしてほしいと思います。
等級制度についてはこちらの記事を御覧ください。↓
報酬制度(賃金)についてはこちらの記事を御覧ください。↓
カテゴリ:人事制度(評価制度)






