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ブログ更新(何が評価されているかわからない虚しさ)

ブログ更新しました。

何が評価されているか分からない虚しさ

何が評価されているかわからない虚しさ

複数のご支援先にて従業員面談を立て続けに実施しました。そこで、どの企業様でも共通して出てきた話があります。人事制度が上手く機能していない企業様では「何が評価されているのか分からない」「自分は会社に貢献できているか実感がない」という声が多く寄せられました。

中小企業は従業員数が少ないので、一人一人の重さが大きく、一人辞めれば死活問題です。それでも、このような意見が多数出てくるということは、やはり人間は自分が貢献できているかを確認したい生き物なのだなと思います。

では、なぜそれほどまでに「貢献の実感」が持てないという声が現場から上がってくるのでしょうか。

評価制度は、人間が根源的に抱えるこの「切実な願い」に応えるための装置であるべきだと考え、本本記事では、心理学的な「貢献欲求」の観点から、組織力を蘇らせる評価制度の本質を解説します。

 


チームに貢献できているか確認したい

太古の昔から、人間は小さな集団で生活をしてきました。そこでは、自分がいかにこのチームに貢献しており、いかに必要な人材になるかということがその集団での生存戦略だったと言えます。

現代の日本においては、その集団は会社であり、さらに小さな集団は自分の部門ということになります。自分は本当に、この場所で必要とされているのか。 従業員は常にこの問いに対する「確信」を求めています。

私は人事制度のご支援をさせて頂く中で、人間の「貢献したい気持ち」と「貢献していると確認したい気持ち」がいかに組織に作用しているかを実感するようになりました。つまり、この気持ちを上手く扱えているかどうかが従業員の定着に大きく関わっていると思います。

まず若手についてですが、若手については明確です。若手の離職に悩まれている企業様では、「あなたの貢献度」や「将来への期待」を伝えられていないことが非常に多いです。つまり、「将来への期待」を言葉にできていないケースが目立ちます。1on1のような面談をやっていても、そこに意思のキャッチボールを取るコミュニケーションがない場合も見られます。よくあることではありますが、しっかり時間も取って打合せはしていても、核心について話している時間が短いこともあります。これでは、折角業務の合間をぬって打合せしても意味が薄くなってしまいます。

その中で意外と見落とされがちですが、実はこの問いは長年その企業を支え続けてきたキーマンやベテラン社員の方からも話が出ます。私は組織診断で実施する従業員面談において、何度もこの話を伺ってきました。

キーマンの方は、自分のスキルアップや給与アップといった個人的なフェーズを超え、「会社全体の底上げ」や「伝統の継承」に意識が向いています。そのため、自分自身ではなく、自分が自発的に取り組んでいる施策が社内で重要視されていないことに関しては、虚しさを感じていることがあります。ここに社長様が気付いていないことも多いように私は感じており、社長様とキーマンの面談に私が同席することもあります。

そしてベテランの方々。この方々は会社の過去を担ってきた人たちです。新しい事業を始めようとしたり、新しいやり方を取り言えれようとすると、ベテランが阻止してくるという話も伺います。ベテラン勢が新しい変化に反発するのは、変化を嫌っているからだけではありません。「自分のこれまでの貢献(過去)が否定されるのではないか」という恐怖の裏返しでもあります。しかし、私が感じることはベテランこそ会社への愛着と帰属意識があるのです。この方たちが会社の良いところを支えているとも言え、会社の経歴を語ってくれることが伝統として未来につながっていくため語り手として重要な役割はあると思います。

そこで、「キーマン・ベテランにこそ評価をフィードバックしてあげてください」と社長様にお伝えしています。それは、良いことばかりフィードバックするものではありません。会社の中にずっといたからこそ、外の動きに鈍いこともあります。会社が今までと異なることをやろうとすると反発もあるでしょう。あなたの過去の働きっぷりを否定するものではない。過去の貢献に感謝しつつ、今後やってほしいことをきちんと伝えていくことは会社側の義務だと思います。

「貢献したい気持ち」と「貢献していると確認したい気持ち」。この欲をきちんと満たすことができれば、従業員はその組織に意思をもって所属してくれると思います。逆に言えば、これらが確認できない組織からは従業員は離れていってしまうということです。

評価制度はそのメッセージを伝える唯一の方法だと思います。それはつまり、評価制度を運用できていない企業様においては、「あなたはこの組織に必要です」というメッセージを伝える術が他にほとんどありません。使わない手はないのです。

 


「役職」の重さ

私が6社ほどの支援先において従業員面談を実施した中で、これもよく出てくると思っているのが、従業員が虚しさを訴えてくる中に「役職」というものが会社の中で存在感が薄くなってしまうことむ含まれています。

本来は、その会社で自分が貢献できているか一番分かりやすく確認できるのは役職です。役職人数は基本的にはピラミッド型に設計されますので、上がれば上がるほど希少性が高くなります。その会社にとっての重要人物度が増していくということですね。

しかし、ほとんどの日本の企業は年功序列ですので、ポジションに就くということが「成果を評価されている」というよりも「順番が来た」という認識が強いです。昇格のタイミングは、会社の貢献度を明示できる折角のチャンスですが、特に中小企業においてはこの機会を逃しているように思います。

役職が意味をなさなくなると、まず若手から順に会社を去ります。この会社に長く勤めても、役職と評価が紐づいていないと分かれば、「頑張っても意味がない」となるからです。私は評価制度を作る中で従業員に提示できるようなキャリアパスを作りますが、キャリアパスと同じくらい大切なのは「役職」の意味付けです。重さと言ってもよいと思います。例えば、課長職に上がることは誰でもできることではない、きちんと認められた人のみ上がれるのだ、という誇りのようなものを提示しなければなりません。

そのためにやるべきは、評価制度をきちんと運用し、評価の高い従業員を「昇格審査」をすることで役職に就くための選抜をすることです。審査を通ることは、多かれ少なかれ従業員にとって嬉しいことです。任命してもらったんだから責任を果たそうという気持ちが湧いてくるはずです。

当社で提案している管理職昇格審査の案です。

上記資料は当社で提案している昇格審査のサンプルです。特に、管理職に上がるときは大きな変化になりますので、できる範囲で構いませんが必ず審査を実施した方がよいと言うのが私の意見です。

ここを省略してしまうのは、上記の「あなたの貢献度」を伝えるタイミングを逃してしまうので、非常に勿体ない。機会の有効活用をしてほしいと思います。

 


評価制度で蘇る組織力

評価制度は上記のように定着に関わる大きな影響力を持っています。それは、何度も出てきますが、人がもっている「貢献したい気持ち」と「貢献していると確認したい気持ち」を表す唯一の方法であり、逆にいればこれ以外のしくみはないと思います。

ということは、離職に悩まれている企業様がいらっしゃいましたら、評価制度に本気で取り組むことで改善する道が開けるのです。やらない手はないと思います。

ただし、評価制度が難しい点も多くあります。

一つは、評価制度は「運用」できるかどうかが100%であり、この「運用」が煩雑です。こんなことやってられないよと現場から言われてしまっては、総務部は肩身が狭くなってしまいますし、経営陣も意思を強くもっていないと「現場が必要ないことをやろうとしてくる」と従業員から反発される可能性もあります。いきなり導入するのではなく、現場の声を聴く施策を何度も繰り返しながら、徐々に制度を入れる土壌を整えていく必要があります。

もう一つは、評価制度は「人事制度」と言われる総称のうちの1つです。人事制度は等級制度・評価制度・報酬制度、この3つの制度の連携によって成り立っていますので、評価制度だけ修正したり運用することはできません。つまり、評価制度を修正しようとすると、一気に大がかりな工事になってしまい、人事制度の専門家でない限り対応できずどうしていいか分からないパニック状態になってしまいます。これが厄介で、ジェンガのように一本積み木を抜くとガラガラと組織が崩れてしまうというわけです。通常、当社がコンサルで入るとなると、等級制度・評価制度・報酬制度の3つの制度のバランスを見て、改定プロジェクトを進めていきますので1年はかかります。この期間と慎重さは端折ることはできないというのが私の持論です。

しかし、この難しい点を乗り越えれば、評価制度を運用することで組織力は蘇ります。なぜ評価制度が必要なのか。それは、人間が持つ『貢献を確認したい』という本能に応えるためです。評価制度によって、先に論じた「何を評価されているか分からない」状況から脱し、「会社に貢献できているんだ」という手ごたえを従業員たちが持てるようになります。この手ごたえがなければ、事業を支えていこうという気持ちは湧いてこないのです。

評価は人を変える。時間は掛かりますが、これは私の経験上、自信をもって提唱できます。

 

 

等級制度についてはこちらの記事を御覧ください。↓

等級制度は人材育成の概観図

報酬制度(賃金)についてはこちらの記事を御覧ください。↓

基本給の個性