事業成果を出す組織を作るのブログ

人事制度は車の運転に似ている

ここ最近、「仕組み化」という言葉を目にする機会が増えています。

企業や組織は活動を継続することが求められます。継続するには、誰かがいなくなってもチームが回るようにしておかなければならず、「属人化」は大敵です。そのため、企業では属人化を解消すべく標準的な仕組みを取り入れ、誰が抜けても誰が入っても一定の品質を保ちつつ対応できるようにしようという動きが広まっています。

一見すると正しい方向に見えますが、私はここに「仕組み化」への過信を感じてしまいます。仕組みを導入しただけでは組織は動かず、結局はそれを動かす人にマネジメント能力次第で運用の良し悪しが決まってしまいます。それもそのはず、仕組みはマネジメント能力そのものを上げてくれるものではないため、どうしても使う個人の能力に依存します。仕組み化はハード面の施策のようで、実はソフト面が非常に大きく影響するということです。

人事制度はまさに「仕組み化」に該当するわけですが、ご支援する中で「人事制度が先か、マネジメントが先か」という問いを頂くことがあるので、記事にまとめてみました。

 


結論、マネジメントが先

「人事制度が先か、マネジメントが先か」という問いですが、結論から言うと私は「マネジメントが先」だと思っています。

全国の中小企業から人事コンサルのご依頼を頂く際、ご支援先の現状はまちまちです。多くは2パターンあり、①全く何もないところから人事制度を作ってほしいと依頼されるパターンと、②随分前に作った制度があるものの形骸化してしまって全く機能していないパターンがあります。

①のパターン(人事制度がない)についてもよくお話を伺うと、実は以前に担当者や経営者が独学で人事制度(特に評価)の設計を試みたり、人事制度まではいかなくても社内規範になるようなルールを作り、導入を試みている形跡があります。①②ともに「自分たちでやってみたけどできなかった」という挫折経験を経て、私のところへお声がけ頂くことが多いことが分かりました。

では、自分たちでやってみたけどできなかった要因は何でしょうか。

個人的には、多くの企業でこの挫折経験の原因特定がやや粗いように感じます。

まず、企業様から聞かれる原因は「仕組みが悪かった・古い」点です。確かにこれも原因としては考えられると私も思っています。というのも、人事制度はそもそも非常に難解です。人事未経験者が独学で人事制度を組む場合は、人事人材として専門的に労力を注ぐ必要があります。(ちなみに、我々コンサルが設計しても、設計期間は1年以上頂きます。)また、メンテナンスが必要な仕組みでもあるので、毎年課題と修正点を定点観測していないとあっという間に実態にそぐわない基準になってしまいます。歪んだ枠組みを使っていても成果が出ないのはその通りで、それ故に私も仕組みの重要性を説いている訳です。

ですが、途中まで手掛けた制度や規範を見せてもらうと、既存制度のクオリティが非常に高いので驚きます。漏れの無いスキルマップや業務マニュアル整備、売上目標の評語化、評価基準の洗い出し、手当の検討などもあったりします。私が修正をせずともそのまま使えるレベルで作られていており、驚くことも少なくありません。

では、なぜ失敗してしまうのか。それは、その企業様に「仕組みを運用できる力がないから」です。そして、この「仕組みを運用できる力」こそが、評価する側のマネジメント能力に当たります。

 


車を運転するにはドライバーの運転能力が必要

「人事制度」と「マネジメント」の関係は「車」と「ドライバー」の関係に似ているなと感じています。

人事制度を作ることは、車を作ることと同じです。要するに、ハードの設計という訳ですね。消費者のニーズに合わせてデザイナーが格好良い車にデザインすると、車の構造やしくみを熟知しているエンジニアが設計図を引き、現場では技術者たちが各パーツや素材の知識と技術を駆使して車を形成していきます。そのような専門性の集合体として、車が出来上がっています。

しかし、車が完成しても動かすことができなければただのガラクタです。車を運転するにはドライバーの運転能力が必要です。アクセルとブレーキとは何か、どのくらいの感覚で踏むと車が発進したり停止したりするのかという動作能力だけでなく、道を覚えたり、駐車場のスペースに合わせて停車したり、道路標識などのルールも覚えます。車の運転はライセンスが必要ですから、皆さん自動車学校に通って免許を取って初めて一般道で運転できるということです。

人事制度をこれに当てはめてみると、車=人事制度、ドライバー=評価者であるマネージャー、運転能力=マネジメント能力ということになります。デザイナーやエンジニアに当たる部分は自前でやる場合は人事部門、外部に発注する場合は我々コンサルタントとなります。

そして、車が欲しいと思ったら、お金を出せば買うことができます。F1に出ない人にF1カーを売るか?という問題があり、ただ眺めているだけのディスプレイ用であればそれもあり得ますが、人事制度はディスプレイするわけにはいきません。組織が小さかったり、運転者の能力が低かったりと、組織のレベルに対してオーバースペックだと判断した場合は、私は人事制度を売ることはできません。

ここでのポイントは、運転をしたことがない人は練習が必要なのと同様に、人事制度を扱うにはある程度のマネジメント能力を事前に実装して頂くことが必要だということです。卵が先か鶏が先かという話ではありますし、もちろん実践で習得できる部分も大きいと思います。もし運用していくうちにマネジメント力を向上させるという方針であれば、効果がでるまで3年は期間を見て頂きたいと思っています。

 

 


人事制度はマネジメント能力がある人が使うツール

「仕組み化」が語られるとき、その響きの中に「仕組みは自動的に動く」という感覚が含まれている気がしています。

それを指摘すると、もちろん皆さん「そんなことできないと思っているよ」という反応をされるので理屈ではご理解されているのですが、では具体的に仕組みをどのように使っていきますか?と問われると、手順や状況の場合分けがイメージがついていないのです。

私の考えとして、「人事制度はマネジメント能力の自動向上装置ではない」とお伝えしています。

人事制度は「評価制度」を以って回していきます。直属の上長と部下が目標設定→ミッション推進→評価を面談で握っておき、全社全体の相対評価を経て、確定した評価を本人へのフィードバック、という流れです。これを見ただけでもコミュケーションの機会が意図的に増えることが分かります。が、マネジメント能力のある方は必要工数だということを理解しているため、これらを既に実施しているのです。そこに標準的な実施プロセスである「仕組み」が導入されればさらにやりやすくなるでしょうし、自分なりのアレンジを加えてマネジメントすることもできます。しかし、実施していないケースでは、制度によってコミュニケーション機会を増やしたとしても、部下と何について話せばいいか分からず、雑談で終わってしまうのがオチです。

当たり前ですが、マネジメントは信頼関係によって成り立ちます。そして、信頼関係は日々の業務の中で作られます。ここで問題なのは、仕事ができる=信頼しているではないということで、現場から離れている上長(特に社長様が一手に評価を担う場合)は、評価者としての信頼という点では不足していることがあります。ここで次の手が打てているかが重要で、マネジメント能力のある人はその点に気付き、業務としての接点を日々持とうとします。これは、雑談や飲み会などプライベートな形式ではありません。上長自身の業務の手を止め、部下のために面談時間を確保し、対話やヒアリングを「業務として」行います。仕組みではなく、「上長の想いで」実施してくれるということに部下は嬉しいのです。つまり、面談の内容ではなく、面談時間を持ってくれる(自分を必要としてくれる)事実に信頼が発生するわけです。一方、多くの方はこの視点に気付けないか、気付いていても後回しにしています。ということは、いつまで経っても信頼は築かれないということです。このように、マネジメント能力は「仕組み」では自動的に向上しないことが分かって頂けると思います。

部下との信頼の大きさと上長のマネジメント能力は表裏一体です。逆に言うと、信頼を大きくする行動を上長が取っていれば、マネジメント能力は必然的についてくることになります。人事制度をうまく運用できず、悩んでいる方や企業様がいらっしゃいましたら、実は仕組みの外に要因があるかもしれないと考えてみてほしいと思います。

 

 

 

 

等級制度は人材育成の概観図

人事制度構築は、まずは等級制度から

支援先の企業様にて、等級制度が完成しようとしています。

80名規模の会社ですが、今まで役職すら曖昧だったというこちらの企業様に等級が入ることは非常に大きな変化であり、ここから100名超の組織へ駆け上っていく下準備と言えると思います。組織が壊れる前に人事制度の構築に着手しようとしているこちらの企業は経営を本当によく考えられていると思います。

一般的に、人事制度と言うときは等級制度、報酬制度、評価制度の3つの制度を指します。そして、人事制度を一から作る際は「等級制度」から作っていきます。

皆さんが一番イメージしやすいのは「評価制度」だと思います。上長と目標を決め、その目標の達成にむけて査定期間中に取り組み、査定期間終了後に上長と評価をすり合わせる。各上長が査定した評価は、全体会議にかけられ社内で相対的な調整が入り、評価が決定する。この評価制度のプロセスをやっている方も多いのではないでしょうか。

そのため、「まずは評価制度から」と評価制度構築についてご連絡頂くこともあるのですが、私は、評価制度は一番最後に決めた方がよいと考えています。人事制度の根幹は「等級制度」であるため、等級がない状態で報酬や評価の仕組みをいじると制度の一貫性が保てなくなります。いくら人事制度が設計3割、運用7割と言われているとしても、この等級制度に限っては設計ですべて決まると言っても過言ではないため、人事制度の起点であり根幹となるわけです。

以下が人事制度設計のフローです。

等級制度・報酬制度は事前設計によって決まるもの、評価制度は運用と定着が必要なものであり、両者の性質は少し異なることが分かって頂けると思います。

 


自社の育成ステップをどこまで解像できるか

では、どうやって等級制度を作っていくか。

「等級」とは、その会社のステップアップする階段です。新卒で入社した者が役員になるまでどのようにステップを踏んでいけばよいか、各等級での役割、次の等級に上がるための要件といった階段を上がるための条件を決めていきます。そして最終的には、どのような人材が役員に就任できるのかというところまで構築します。(これを従業員にどこまでオープンにするかは別議論が必要です。個人的にはすべてオープンにしても問題ないと考えていますが、組織の事情によっては一部オープンにしていきます)

ということは、構築のために必要な作業は「洗い出し」と「組立」です。

洗い出しでは、①従業員の現状のレベル ②業務・タスク ③階層と部署 ④マネジメント層 この4つの観点から抽出を行います。この4つの分析ポイントは、等級が組織と業務に密接に関わっていることから私が設定しているものです。

①は人事制度導入前の事前準備の段階で従業員面談を実施しますので、そこでインプットにすることができます。

意外と忘れがちなのは②かと思います。今、全社の中にどのような業務・タスクがあり、どの部署が担っているのかを洗い出します。こちらもアンケート、必要に応じて面談でのヒアリングとなります。業務・タスクは取り組んでいる本人しか分からないため、聞いて回るしか情報を集める方法はありません。

③④は組織に関わる部分です。階層と部署は②で集めた業務がどのように全社の中で散らばっているかを見てみます。具体的に取り組んでいる担当者と紐づけてみると、業務のレベル・難易度が分かります。すると、コア部署に本当に重要な業務が配置されているか、分担が上手くいっているかというところが見えてきます。④は現在のマネジメント体制について確認します。組織の要はマネジメント層です。③の業務分担がどのようにチームへと枝分かれいているか、末端の従業員までしっかり指示や分担が落ちているかという指示系統を見ます。部署によりマネジメントの難易度が異なるケースもあるでしょう。

このような情報をつぶさに集めてから、初めて等級を組み立てることができます。

組立では、役員までの成長ロードマップを描きます。ただし、現在の状態からかけ離れた夢物語な等級を組むことはできないため、プロジェクト内で慎重に確認しながら組み立てていきます。役職と等級の組み合わせも重要になりますので、どこで昇格地点がくれば従業員のモチベーションにつながるかを想像していきます。しかし一方で、現状通りの等級をそっくりそのまま組み立てても組織の成長につながらず、意味がない訳です。この現状と理想の間を取った微妙な塩梅でビジョンまでの成長を描くことが等級構築では求められます。

等級制度とは従業員の成長概観図です。

上長から見た時には人材育成の概観図になります。両者が同じ地図を広げることで、成長と育成の方向性や課題認識がずれないようにできるということです。

 


若手層が口にする「成長の全体像がわからない」という不安

等級制度を入れる一番の目的は「人材育成」です。人材育成にお悩みの企業様、御社の等級制度を今一度思い出してください。育成ステップを踏まえて一貫したものがありますか。そもそも等級制度がないところや、何年も前に作ってメンテナンスもせず放ったらかし、ということもあるかもしれません。

そして人材育成で重要なことは、「全社共通のゴールと全体像を見せる」ことです。

この必要性は私が今まさに肌で感じているところです。さまざまな県・業種の中小企業で従業員面談を行う中で、若手社員の方が口々に「今どのレベルに居るのか分からない」と話してくれます。

自分の若手時代を振り返ってみても、ああそういう時もあったなと懐かしくなります。ただ、当時何故それでも成長することができたかというと、周りに若手の先輩がいて、何となく数年後のイメージがついたからだろうと思います。この問い合わせは回答できるようになりたいとか、上長から落ちてきたタスクを確実に対応できるようになりたいとか。

中小企業では元々入退社が激しい環境ですが、そのスピードは今後さらに加速することでしょう。中途入社の先輩は別の環境でスキルや知識を身に付けてきたわけですから、この会社で勤務していて果たして自分はどのレベルまで行けるのか、ということに不安になってしまうのはやむを得ないと思います。

また、「上の人たちがどのレベルまで自分たちに求めているかわからない」という声も聞きます。自分としては求められることに応えているが、もっともっととタスクが降ってくる。自分でここがゴールだろうと思っていたところで急にゴールを伸ばされるとやる気を失いますよね。これは当然と思います。

育成に悩まれている企業様で、前述した「同じ地図を広げる」ことで育成のハードルを乗り越えられるケースもあります。例えば、部下の方が習得に時間が掛かるタイプだったとします。周りと比較して習得が遅い自分へ焦りつつ、でも習得のために一生懸命やっているのにそこを見てもらえないという不満が溜まっていく。一方、上長には部下の育成責任があります。たまたま配置転換で同じチームにいる育成スピードの遅い部下をどうにかして一人前にしなくてはいけない。まだまだ覚えるべきことはたくさんあるのに…と、こちらも焦っている訳です。

そういったときに等級があれば、全体像を共有することができます。本人は自分が全社でどのくらいのレベルにいるのかが把握でき、上長は本人が登ってきた階段の振り返りと今後登るべき階段を部下に提示することができます。そこから育成スピードを上げるのか、他の道での育成を検討するのか、このままコツコツ進ませるのか…といったところは育成方針によりますが、この「全社共通のゴールと全体像を見せる」ことは若手層の不安を取り除くことができるはずです。

ここまで等級制度について書いてきましたが、等級制度を含む人事制度はあくまでもツールで、人材育成の本質は上長と部下のOJTにあります。つまり、OJTが少しでもやりやすくなるためのツールとして、人事制度を使っていくべきというのが私の考えです。

 

 

管理職の大降格時代を考える

管理職ポスト保障時代の終焉

先日、日経新聞を読んでいたところ、このような記事を見つけました。

「管理職に大降格時代 スキルないと2軍、でも実はチャンス」

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC288QD0Y5A120C2000000/

管理職の大降格時代、なんとも怖ろしいタイトルですが、実際に私も前職では48歳以上の管理職を対象に早期退職制度を実施していましたし、私自身も管理職降格の仕組み作りに携わっています。

10年前と比べて、管理職というポストの在り方が変わったように感じますが、その変遷について追ってみました。


管理職に昇格する=生活の保障だった

大企業では、過去の年功序列体制により、膨らみに膨らんだ管理職のやりくりに頭を悩ませています。

私も前職がプライム一部上場企業でしたので、状況はよくわかります。現在の大企業では、人員の適正構成と一般的に言われているピラミッド型(年齢層が上がるほど役職のポスト数が減る)にならず、管理職よりも一般社員の方が少ないケースも多く見受けられます。一人の一般社員に対して複数の管理職が作業員の取り合いになり、指示があちらこちらから出される。一体だれの指示を聞けばいいのだろう、若手社員の疲弊はもはや当たり前になっています。

日本の管理職が増えてしまった要因として、給与の支給基準が変化したことが挙げられます。

一昔前まで、給与は「生活給」「勤続給」という性質が強くありました。年功序列という考え方はまさに「生活給」をベースに報酬が設計されており、40歳男性であれば家庭があり子どもが2~3人いることを想定します。中学生くらいになり、学費も高くなるころだろう。一般的な生活のロールモデルが描きやすいですし、従業員の大半はそのロールモデルの通りのライフスタイルだったというわけです。

給与が生活費という側面を抱えている以上、会社側にも従業員の生活を保障する責任が発生します。そのため、会社側もよっぽどのことが無い限り、管理職のポストを用意します。そうなると永久的に管理職が増えていくことになりますが、若手が大量に採用できた時代はいくら管理職がいても困らないとも言えました。

毎年大量に入ってくる新人に対して、現在のような手厚いサポートもないため、即戦力になるまで時間が掛かる。管理職が多数いれば、パフォーマンスの上がらない若手を大量に抱えていても部署の実績をあげることができます。日本の新卒一括採用を支えていたのは、一般社員の仕事を一人でかつハイクオリティで対応できる管理職で、その方たちは一定数必要でした。

つまり、この時代の管理職に求められることは、同じ仕事をハイクオリティ(職人的・正確・早い・顔が利くなど)で対応できるようになることだったのです。

 

日本全体での人事異動

上記の日経新聞の記事で述べられている「管理職降格時代」。

生活給としての管理職ポジションは一転し、全員が管理職に就ける時代は終了しました。

現在、人材の価値は転職という名の市場に委ねられています。転職では、個人の持つ「能力」「経験」「役割」が切り売りされ、その希少性・汎用性の高さに比例して需要が増し、高い給与が払われるようになります。会社側は従業員と外部採用候補者のレベルを比べることができる。従業員は、社内ではなく社外の人(他の会社で「能力」「経験」「役割」を身に付けた人)と戦うことを余儀なくされているのです。

日経の記事によると、大降格時代は日本にとって「チャンス」だと言います。

それは、中小企業やスタートアップなど、ここから拡大・発展しなければならない企業において、大企業で培われた高い専門性は喉から手が出るほど欲しいからです。大企業で降格になった、あるいは早期退職に引っかかったからといって知識や経験を腐らせてしまうのは、日本としては非常に痛手です。本人的にも降格してまでも大企業に居続けるより、いっそ環境を変えるチャンスと捉えるほうが良いと記事は述べていました。

私もこの意見には賛成です。労働力がますます減少する中、さらに効率的に生産することを求められる日本にとって、日本全体での人事異動はてこ入れしてでも実施すべきでしょう。

個人の人生を見ても、この日本全体での配置転換の流れに飛び込めた方が幸せなのではないかと思うのです。つまり、今までは一度管理職に上がってしまえば、能力が頭打ちになった人材も窓際族として高給が保証されていたところから、その保証が外され降格・降給が当たり前になるのです。それであれば、同じ規模の給料になることが目に見えているのですから、必要とされる場所へ移った方がよいのではないでしょうか。

私がご支援する中小企業においても、大企業での経験やノウハウを欲していることをひしひしと感じています。(だから私のようなコンサルタントへ発注がある訳です)

例えば、前職が大企業の子会社役員や管理職だった人材が定年後に再雇用先として地元の中小企業へ転職しているケースは本当によく見受けられます。定年前に転職に慣れていた方ばかりではありませんが、自分の知識や技術が活かせる環境に60歳過ぎてから身を投じ、活躍されています。

条件があるとすれば、そのような人たちは自分の培ってきた技術や知識に絶対的な自信があります。そして、その技術や知識を横展開できるように言語化し、マニュアルに落とせるレベルまで標準化されています。理想的なレベルの新しく就職する企業の改善点を見つけ出し、臆せずに行動や発言をされている印象があります。これはおかしいよ、これは変だよ、こういう風にやっていこうよ、と問題提起されています。

あるいは、黙々と個人主義で働くということもできます。大企業に居る限り、どこまで昇進したとしてもマネジメントされる側から逃れることはできません。それが、中小企業へ移ることで自分の作業だけに集中する(個人プレーポジション)で働くこともできます。高い専門性とスキルがあるため、それが許されるのです。また、私は、社長の右腕や二番手ポジションが性に合っている人は意外と多いと思っており、そのような自分に合った働き方も叶うようになるのです。

組織はその大きさや事業のレベルに応じて必要な人材が変わっていきます。日本という国を大きな企業と見立てた時に、今まではマンパワーをかけて成長してきた、それがここからは少数精鋭で利益を出していかなくてはいけなくなるのですから、いかに国全体で効率のよい人員配置できるかがカギとなります。今まで大企業が手放さなかった人材が、この大降格時代に放出されるようになったこの状況を「大降格時代」と悲観せず、日本の人事異動として捉えられたらより発展するだろうと思います。

人事制度=コピペなのか

本来、人事制度は独自のものなはず

当社にご依頼頂くご相談事項で必ずと言っていいほど言われるのが、「コピペではない、独自の人事制度を作ってほしい」という内容です。

私の感覚では、人事制度はその企業独自のものであるのは当たり前だと思っています。それは、その企業の事業・風土・従業員を理解しないとそもそも制度を作ることができないからです。

にもかかわらず、どうして「当社独自の制度を作りたい」というニーズがあるのか。

それは、「人事制度=コピペ」というイメージを作っている何か要因があるのではないかなと感じています。ケースとして、大きく2つあります。

 

過去に外部に依頼して人事制度導入を失敗した場合

企業様にご提案している中で、意外にも多くの企業が人事制度導入に踏み切ったことがあるんだなと感じます。これは、企業規模に関わらず、小さい企業様でも聞かれる話です。

そして、その後運用をやめてしまったケースのほとんどが、過去に外部委託して人事制度を作ってもらっていました。外部とは、別の人事コンサル会社、県や区が派遣している専門家、社労士、キャリアアドバイザーなどです。

そういったところでは、恐らくですが「○○メゾッド」や「●●人事制度」のような一律の構築方法があり、コンサル内で使っている手法やフォーマットを判を押したように使用しているでのはないかなと推測されます。

これはコンサル側の視点に立つと合理的です。人事コンサルタントを養成するのは非常に難しく、人事や事業会社を経験していない新米コンサルタントでも標準化された手法を使えば一定の質を担保できるように開発されたものでしょう。

しかし、このやり方は柔軟性がないのが一番のデメリットです。

メゾッドやフォーマット自体は悪いわけではなく、これを使うコンサルタントが人事制度の余白をどこまで理解しているかによって完成形が変わってしまいます。もし、一点突破でごり押ししてくる方だと、たちまちコピペの人事制度が出来上がってしまいます。

私はコンサルタントの経験は重要だと思っています。それは、人事制度の「構築経験」ではなく、「運用経験」があるかが見極めポイントです。人事部に所属し、運用を苦慮した経験があるかどうか。コンサル経験だけでは、人事制度が自社にフィットしていない影響や従業員からの不満がイメージできず、調整を進めることが難しいと考えています。

「早い・安い・簡単」を打ち出していたり、制度の効果を最初から打ち出している(自己実現、自律分散型など)専門家は、少しメゾッドがきっちり決まっているだろうなという印象を受けます。

 

企業様が独自の人事制度構築の難しさをイメージできていない場合

これは一度だけ私が体験したケースです。

「独自の制度を作る」ことについては、企業様と私が対話を重ねながら制度の細かい部分を設計していくになるので、企業様の方でも相当な努力が必要です。人事制度のことを勉強し、そこから派生してどのような人事課題に影響が及ぶかをイメージし、自社を分析し、落としどころを探ることに悩むことになりますので、多くの時間を費やして頂くことになります。

多くの企業様はこれを理解してくださり、社長様もしくはご担当者様が人事制度に関して積極的に学んでくださいます。こちらが驚くようなところまで知識がある方もいらっしゃり、そうするとさらに込み入ったレベルの高い話ができるようになってきますので、完成した人事制度の精度が高いと感じています。

そして、私の方は企業様への知識提供や手法提案を全力で実施させて頂きます。人事制度について基礎知識を学びたい社長様には勉強会を開催したり、関係者の方々にも実際に他者事案を見て頂きながらお話したこともあります。

ところが、中にはこの前提知識の底上げの時間を全く必要ないとしてしまう企業様がありました。

また、私のコンサルディングでは、社長様の方針と従業員の方の状況を把握するために準備期間に2~3カ月頂いていますが、その組織分析時間も不可とされました。学んだり、分析したりする時間がないからコンサルに依頼したんだ、ということでしょう。

このようなケースでは、「独自の人事制度は構築できませんよ」というお話をさせて頂きます。人事制度の手間・工数を丸投げしたい場合は、ある程度型にはまった人事制度を導入されることをお勧めします。コピペの人事制度自体が悪いわけではなく、シンプル簡単なものが多いですし、その方が費用対効果の満足度は上がるように思います。

 

人事制度を構築した人の本気度が高くないと独自の人事制度は作れない

コンサルディングとは、企業の風土や状況を初見の者が社外から入ってくるため、双方の努力が必要です。その意識がある企業様では、組織を変えたい本気度が高く、人事制度プロジェクトは必ず成功しています。そのような企業様のために動いていきたいと日々実感しています。


IGNITE HORIZON(イグナイト ホライズン)

50人以下の会社やチームのための成果を出す人事コンサルタント|IGNITE HORIZON
メールアドレス:info@ignite-horizon.com
無料相談承ります。
人事・総務でお悩みなことが御座いましたら、HP内お問合せフォームもしくは上記メールアドレスからお気軽にご連絡ください

3年後の組織を本気で考えられるか

本当に御社を大きくしたいかを問う

事業が大きくなり、会社として成長している中小企業においては、組織体制の悩みが出てきます。最近では、親御様から社長を引き受けた次代の若手社長様が、組織体制をどうしようかと組織体制にメスを入れようとしているところに立ち会う機会が何回かありました。

そこで問われるのは、「本気で組織を大きくする気がありますか」ということです。

先代から事業を引き継がれている社長様は、先代とともに戦ってくれた戦友のような従業員に頭が上がりません。自分よりも事業のことを知っていて、自分よりも年齢も社会人経験もあるとくれば、それはそのような従業員を立てなくてはいけないとなるでしょう。その方たちと一緒にこのままやっていくのも一つの正解だと思います。この会社を選んでくれた従業員の働く場を作り、動きやすい規模・スピード・温度感で進めていくことだって、唯一無二の使命なはずです。

もし、そこから大きく方向転換し、事業や企業を大きくしたいと思うのであれば、社長様本人の意志が必要です。「コンサルが入って心に火が付いた」と言われたら私としてはコンサル冥利に尽きますが、その企業のことを考えるとそれでは継続できず、社長の内側から「企業を大きくしたい」という気持ちがあって初めて人事・組織コンサルが始まると思っています。

そのためにもミッション・ビジョン・バリュー(MVV)を節目節目で見直すことが重要で、自分の情熱の矛先がどこにあるのか見直しましょう。当社でもMVVの策定のご支援をしていますので、自身の方向性を壁打ちしながらじっくり向き合いたい場合はご連絡ください。

ミッション・ビジョン・バリューの策定

 


めざすべきは3年後の組織

社長の気持ちが固まったら、どのような組織をめざしたいか(事業がどのように大きくなるか)の予想を立てていきます。

大企業では、人員数計画予算、人件費予算を1年に一度立て、また昨年度立てた予算と実推との乖離を確認することをします。中小企業やスタートアップでは予算編成ほどカッチリしなくてもよいかとは思いますが、どのペースで組織を大きくしていくかを検討するために、1年後と言わないまでも3年後の見込みを見ながら組織図を描いていきます。

3年後の組織図を一度描いてみるとわかりますが、現在の組織からの変更が出てくるパターンがほとんどです。新規事業を立ち上げるために誰を選抜するか、その穴をどのように埋めるか。もしかしたら組織を解体させなくてはいけないかもしれませんし、あるいは現在起業を支えてくれているメンバーを横によける必要もでてくるかもしれないのです。現実として組織図に起こしてみると、本当に自分が求める姿なのかがわかりますのでぜひやってみてほしいと思います。

組織を大きく変える手段として、階層化は避けられません。

社長直轄で従業員を見ているような組織であれば、リーダー(管理職)ポジションをいれましょう。管理職がすでにいる企業においては、その管理職たちが名ばかりではなく実際部下の面倒を見るように小さなチームを作ります。具体的には、育成と評価の責任をリーダーに付与し、指示系統を整えていきます。リーダーたちもすぐに上手くはできませんから、何度も教育をしたり評価会議の中で査定の不備を確認するなど、何回か実施することで感覚を掴んでいきます。

ここまで読んで頂くとわかる通り、組織図上でパズルのように動かすだけではなく、具体的に「人」に対して実行すべき施策が浮き上がります。リーダーに任用したい人に対してリーダー教育をしたり、新事業に入ってほしい人材に学ぶ場を提供するなど、より3年後の企業規模や人員対応が鮮明になります。私の支援では、この3年後の組織について、図と言語にしながら固めていき、人事施策も明確にしていきます。

 

 


何となく人事制度を入れない

「本気で組織を大きくする気がありますか」

私がこれを問うているのは、何となく人事制度を導入してほしくないからです。

人事制度はあくまでもツールです。人事制度を入れるだけで従業員が自発的に動き出す、会社がしっかりしているように見てもらえる、評価が平等になる…人事制度は一気に組織改善できるような万能なものでは残念ながらありません。導入したら、まずは作業工数が増えてしまったという不満が大きくなるのみでしょう。

手間をかけてでも導入する意志はありますか。これはまさに、「本気で組織を大きくする気がありますか」という問いと同義だと思います。組織を大きくしたい。事業を拡大したい。社長様は常にその考えがあると思いますが、一つ上のステージに行くことの恐怖もあると思います。現在の組織が壊れてしまうかもしれない、従業員からの反発を受けなくてはいけない、退職者がでるかもしれない、そこへの改革を本気で望むならば、人事制度を導入する絶好のタイミングです。

人事制度の効果が出るのは早くても5年後、もっと長期的に見れば20年はかかると思います。それは、人事制度が入っていることが当たり前の世代が評価者側になって初めて制度の本領発揮になります。人を評価するのは、自分が評価されたことがないと難しいからです。つまり、20年後の御社のために今行動できますか、ということです。少し悠長な話になってしまいましたが、20年と言わず、まずは3年後。現在の組織が3年後に変わることに対して取り組みたい企業様がいらっしゃいましたら、本気で支援いたしますのでお気軽にご連絡ください。