事業成果を出す組織を作るの実績紹介

組織診断(従業員アンケート+面談)

■実績紹介

会社名:株式会社エコ・ブレーンズ

設立:2008年

所在地:静岡県静岡市

従業員数:10名

事業内容:補助金申請代行業


御社で何が起こっているのか、オリジナルアンケートで炙り出す

支援させて頂いている企業様にて、組織サーベイとして従業員アンケートを実施いたしました。まず、当方が用意しているオリジナルアンケートを基に、社長様と事前に設問に対するすり合わせを行い、従業員アンケートを完成させます。私が確認したいことに加え、社長様が気になっていることをこのタイミングで確認できた方が良いので、併せて設問に盛り込みます。

また、事前に社長様とはメンバーの業務内容・過去のキャリア・性格特徴・強み弱み・将来性などについて打合せをしております。ある程度組織の情報を私もインプットできた状態でアンケートを調整しておりますので、最終目的である人事制度を作るために知りたいこと、例えば「評価制度のための評価基準」「人財育成基準」「経営者と従業員の温度差・方針のずれ」などをまとめていくための設問を的確に用意することができます。

実は、アンケート実施直前にこちらの企業様にて入退社が発生してしまい、社長様が非常に疲弊していらっしゃいました。社長様としては誠心誠意従業員を巻き込んできたわけですから、辛い部分は心中察することができます。その出来事を踏まえ、アンケート内容を一部更新することにしました。社長様としては「社員の不満を聞いてほしい」とのご要望が新たに出てきたため、そこも診断できるよう設問を工夫した一方、あまりにも「不満抽出」に固執してしまうと本来の組織診断から離れてしまうので、アンケート内では軽く触れる程度にとどめ、メインは私が面接時に口頭で確認することにしました。

このように、企業様の状況に合わせて柔軟に設問を変更し、集めたい情報を確実に吸収できるようアジャストできることは当社の強みかと思います。

 

↓アンケートサンプルです *全体で4枚(20問)ほど

 


組織の核を探る従業員面談

アンケート集計後、企業に訪問して従業員面談を実施しました。一人1時間、10人実施しましたので1日で10時間面談していたことになります。

従業員面談は、「従業員の方が心を開いてくれるか」が重要ポイントです。どこの人事コンサルでも従業員面談を実施しているかと思いますが、面談はインタビュアーの力量がものすごく出る部分になります。そのような状況で、従業員の方の「大丈夫です、何もありません」という言葉を間に受けてしまうようなコンサルタントは組織実態を捉えることは難しく、その言葉の裏にあるような人間関係・性格・状況・熱量などを総合的にみて、瞬時に質問を調整していく必要があります。

今回、従業員面談を実施してみて、外部の人間がヒアリングに入ることが組織にとって大きなプラスになると改めて実感しました。

㈱エコ・ブレーンズ様では、当初社長様が「急に外部の人と面談しても、みんなあんまり喋らないんじゃないかな」と言っており、一人30分のタイムスケジュールにしていました。ところが、面接を初めて見ると、組織のこと、プライベートなこと、今までの経歴のこと、将来のキャリアのこと、事業展望のこと、地域のことなど、様々な話題が出てきて一人1時間かかりました。10人いましたので、面談日は10時間面談を実施しました。(最後の方は声がかれてきました…)

社長様が驚いていたのは、従業員の方がすぐに心を開いてくれたことと、私が従業員の方の性格や特徴を掴むことができ、社長様の思っていた印象と一致していたことです。それは、手前味噌ではありますが、私が事業現場とのやり取りがとても多く、300~900人の地域の従業員の人間模様を見てきたことが活きているのだと思います。実際に会わなくてはその人の性格がわからない、というのも、遠隔地にある事業現場に訪問する中で身についた感覚です。メールや電話では冷たかった人も、実際に対面してみると攻略すべきポイントが見えてきます。

組織は閉塞感があります。特に、中小企業は小さい箱の中に人間関係が押し込められているようなものなので、社長様・従業員様ともに相談相手がいないための行き場のないストレスはあります。意外にもコミュニケーションの範囲(話題・対人)が狭いのです。そこで、利害関係のない第三者が入ることで、皆様多少なりともほっとしたような顔をされます。毎回この瞬間に面談をやってよかったなと感じます。

私の感覚的は、8~10人面談すると大体従業員の意見が一致してきます。もう少し規模の大きな組織でしたら、キーパーソンを8~10人ピックアップして頂き、その方たちと面談していきます。面談はWEBではなく直接企業様へ訪問し、生の感覚を吸収してきます。(地方企業も大歓迎です。)

但し、1時間愚痴大会にしないようには気を付けています。また、「この話は社長に報告します」というスタンスでヒアリングを行いますので、ただすっきりして終わりではなく、今後のためになるような発言を従業員様にも心掛けて頂きます。

そして、そこで出てきた意見や話をふるいにかけ、どこを社長様に報告するか私の方で見極めていきます。

 


フィードバックで見えてきたビジョンと社長様の覚悟

従業員アンケート・面談に加え、その前段で実施していたMVV策定・人事ポリシー策定の内容を合わせ、最終結果をご報告します。ここが一番コンサルタントの頭の悩ませどころで、社長様の性格や従業員の方との関係性に応じて報告レベルを変えていきます。(従業員の方の意見を聞いて、さらに関係性が悪化してしまうと本末転倒なので、そこは私の方で調整いたします)

ミッション・ビジョン・バリューの策定

人事ポリシー構築(人事制度導入前)

今回の企業様は社長と従業員の関係が比較的良好だったので、問題なくご報告いたしました。

さらに、今までの調査で課題がいくつか出てきます。しかし、すべて同時に実施というわけにはいかないため、優先順位をつけてお渡します。その順位を見て頂き、今後取り組むべき人事・組織施策の推進スケジュールを一緒に組んでいきます。必要に応じて、調査に協力頂いた従業員の皆様に報告会を開くことも可能です(その場合は、私も同席させて頂きます)。従業員の方にフィードバックがないと、毎回調査だけ協力してあの手間と時間は何だったのだと不満につながりかねません。コミュニケーション施策の一環にもなりますので、最後の報告会までアレンジさせて頂きます。

㈱エコ・ブレーンズ様では、当初社長様のご意向は「人事制度を導入してほしい」というものでした。そのため、その方向で私も準備を進めていたのですが、従業員アンケートと面談を通して、従業員から「(後継者探しも含めて)社長にビジョンがない」との声が多数聞かれました。MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)は立ててあったのですが、従業員の方が感じる実態と理念が一致していなかったのです。また、MVV策定のためのセッション(私との壁打ち面談)の中で、社長様から「5年後はどうなるかわかならい(そのため、臨機応変に適応していく)」という発言が所々でありました。社長様としては前向きな姿勢で挑んでいくという気持ちでしたが、従業員のもとにはそのポジティブさは伝わっておらず、反対にネガティブに感じ取られていたということです。(従業員の前で社長様が発言していたわけではなく、あくまでも従業員が空気を察していたということです)

そこで、私からのご報告では、最優先事項としてMVVの立て直し(浸透)を提案いたしました。この土台がぐらついた状態で制度を導入しても、従業員がついてこないことが明白だったからです。

<報告書サンプル>

 

ここから施策に突入するわけですが、ここまでで3カ月かかります。

これが私の支援の特徴です。早い・安い・簡単、これを謳っているコンサルタントはいくらでもいますが、そんな制度を導入して本当に御社が10年後に伸びるのでしょうか。私は、本当に御社の成長を考えて施策を練ります。そのためには、社長の方針や御社の雰囲気、従業員のポテンシャルなどをインプットし、御社の社員のように気持ちを入れる必要があります。私はじっくり・丁寧・御社にフィットするコンサルタントをめざしています。そのため、御社の重要なお時間ではありますが、施策開始前に3カ月の準備期間を頂いております。

ここに賛同頂ける企業様は、施策実施~運用伴走まで中長期的に伴走させて頂くことも可能ですので、ぜひご相談ください。

因みに、㈱エコ・ブレーンズ様では、この従業員アンケート・面談が社長様・従業員様の両者から好評で、今後も定期的に実施させて頂くことになりました。組織は生き物なので、定点観測は必要です。人財育成の面からも従業員アンケート・面談は非常に有効ですので、ここだけスポットで支援を受けたいという企業様も大歓迎です。お気軽にご連絡ください!

 

ブログ更新(3年後の組織を本気で考えられるか)

ブログ更新しました。

3年後の組織を本気で考えられるか

 

 

3年後の組織を本気で考えられるか

本当に御社を大きくしたいかを問う

事業が大きくなり、会社として成長している中小企業においては、組織体制の悩みが出てきます。最近では、親御様から社長を引き受けた次代の若手社長様が、組織体制をどうしようかと組織体制にメスを入れようとしているところに立ち会う機会が何回かありました。

そこで問われるのは、「本気で組織を大きくする気がありますか」ということです。

先代から事業を引き継がれている社長様は、先代とともに戦ってくれた戦友のような従業員に頭が上がりません。自分よりも事業のことを知っていて、自分よりも年齢も社会人経験もあるとくれば、それはそのような従業員を立てなくてはいけないとなるでしょう。その方たちと一緒にこのままやっていくのも一つの正解だと思います。この会社を選んでくれた従業員の働く場を作り、動きやすい規模・スピード・温度感で進めていくことだって、唯一無二の使命なはずです。

もし、そこから大きく方向転換し、事業や企業を大きくしたいと思うのであれば、社長様本人の意志が必要です。「コンサルが入って心に火が付いた」と言われたら私としてはコンサル冥利に尽きますが、その企業のことを考えるとそれでは継続できず、社長の内側から「企業を大きくしたい」という気持ちがあって初めて人事・組織コンサルが始まると思っています。

そのためにもミッション・ビジョン・バリュー(MVV)を節目節目で見直すことが重要で、自分の情熱の矛先がどこにあるのか見直しましょう。当社でもMVVの策定のご支援をしていますので、自身の方向性を壁打ちしながらじっくり向き合いたい場合はご連絡ください。

ミッション・ビジョン・バリューの策定

 


めざすべきは3年後の組織

社長の気持ちが固まったら、どのような組織をめざしたいか(事業がどのように大きくなるか)の予想を立てていきます。

大企業では、人員数計画予算、人件費予算を1年に一度立て、また昨年度立てた予算と実推との乖離を確認することをします。中小企業やスタートアップでは予算編成ほどカッチリしなくてもよいかとは思いますが、どのペースで組織を大きくしていくかを検討するために、1年後と言わないまでも3年後の見込みを見ながら組織図を描いていきます。

3年後の組織図を一度描いてみるとわかりますが、現在の組織からの変更が出てくるパターンがほとんどです。新規事業を立ち上げるために誰を選抜するか、その穴をどのように埋めるか。もしかしたら組織を解体させなくてはいけないかもしれませんし、あるいは現在起業を支えてくれているメンバーを横によける必要もでてくるかもしれないのです。現実として組織図に起こしてみると、本当に自分が求める姿なのかがわかりますのでぜひやってみてほしいと思います。

組織を大きく変えるパターンとしては、やはり階層化でしょう。社長直轄で従業員を見ているような組織であれば、リーダー(管理職)ポジションをいれましょう。管理職がすでにいる企業においては、その管理職たちが名ばかりではなく実際部下の面倒を見るように小さなチームを作ります。具体的には、育成と評価の責任をリーダーに付与し、指示系統を整えていきます。リーダーたちもすぐに上手くはできませんから、何度も教育をしたり評価会議の中で査定の不備を確認するなど、何回か実施することで感覚を掴んでいきます。

ここまで読んで頂くとわかる通り、組織図上でパズルのように動かすだけではなく、具体的に「人」に対して実行すべき施策が浮き上がります。リーダーに任用したい人に対してリーダー教育をしたり、新事業に入ってほしい人材に学ぶ場を提供するなど、より3年後の企業規模や人員対応が鮮明になります。私の支援では、この3年後の組織について、図と言語にしながら固めていき、人事施策も明確にしていきます。

 

 


何となく人事制度を入れない

「本気で組織を大きくする気がありますか」

私がこれを問うているのは、何となく人事制度を導入してほしくないからです。

人事制度はあくまでもツールです。人事制度を入れるだけで従業員が自発的に動き出す、会社がしっかりしているように見てもらえる、評価が平等になる…人事制度は一気に組織改善できるような万能なものでは残念ながらありません。導入したら、まずは作業工数が増えてしまったという不満が大きくなるのみでしょう。

手間をかけてでも導入する意志はありますか。これはまさに、「本気で組織を大きくする気がありますか」という問いと同義だと思います。組織を大きくしたい。事業を拡大したい。社長様は常にその考えがあると思いますが、一つ上のステージに行くことの恐怖もあると思います。現在の組織が壊れてしまうかもしれない、従業員からの反発を受けなくてはいけない、退職者がでるかもしれない、そこへの改革を本気で望むならば、人事制度を導入する絶好のタイミングです。

人事制度の効果が出るのは早くても5年後、もっと長期的に見れば20年はかかると思います。それは、人事制度が入っていることが当たり前の世代が評価者側になって初めて制度の本領発揮になります。人を評価するのは、自分が評価されたことがないと難しいからです。つまり、20年後の御社のために今行動できますか、ということです。少し悠長な話になってしまいましたが、20年と言わず、まずは3年後。現在の組織が3年後に変わることに対して取り組みたい企業様がいらっしゃいましたら、本気で支援いたしますのでお気軽にご連絡ください。

 

実績紹介(人事ポリシー構築(人事制度導入前))

実績紹介を更新しました。

人事ポリシー構築(人事制度導入前)

人事ポリシー構築(人事制度導入前)

■実績紹介

会社名:株式会社エコ・ブレーンズ

設立:2008年

所在地:静岡県静岡市

従業員数:11名

事業内容:補助金申請業


従業員への情熱がそこにあるか

以前から支援させて頂いている企業(株式会社エコ・ブレーンズ様)で評価制度を導入することになり、そのためにまずは人事ポリシーの策定と組織診断を実施することになりました。

人事に携わっていない方におかれては「人事ポリシーって何?」と疑問に思われるかもしれません。人事ポリシーとは、その会社の重要資源である「人」について、経営者や人事責任者の方がどのように考えているかを言葉にした方針のことです。採用基準、昇格基準、組織風土に合う人の特徴、人材育成のスパン、どこまで従業員を育てたいか、人材のためにどのようなリソースを割けるか、等々。この方針を人事施策の運用をする担当の方や場合によっては社内全員に共有していきます。

ルールを決める際には必ず価値観が必要です。これは会社ごと異なっていて当たり前で、事業によっても異なるかもしれません。私がコンサルとして入る際、この人事ポリシーが具体的になるまでお話を聞きます。そして、この「人事ポリシー」を明確にする前に制度を作ってしまうと制度がコピペのような薄っぺらいものになり、必ずと言っていいほど形骸化するか潰れてしまいます。

人事制度を導入する最終判断は、「経営者の方が従業員に対して情熱があるか」です。

これは組織の責任者でなければ発生しない熱意です。まずは経営者の方、そしてそれに準じて経営層の皆様・人事責任者が熱意をもっていることが大切で、この組織に対する熱を組織の中に伝播させていくことが人事制度の確固たる役目です。ということは、はじめの熱意がどれだけ高く熱することができるか、ここに運用のポイントなのです。

制度は設計2割、運用8割と言われています。

ぴかぴかの制度を作ることは簡単で、人事経験などまるでない(正直はったりの)人事組織コンサルタントでも作ることだけでよければできます。しかし、それを長年にわたり運用していく、そして事業成果の伸びまで発展させていくことができるか、ここは実際に運用を経験していたコンサルタントでないと担当できないと思っています。

人事や組織の領域は、作業が目的化しやすいと思っています。つまり、本来手段だったはずの制度導入が目的になってしまい、社内稟議を通すことや制度を導入することが使命になりやすいため、本来の目的である「なぜこの制度を導入するのか」「導入した後にどのように変わっていきたいか」という本題の部分が薄くなってしまいます。

経営者の皆さん、ぜひ情熱を制度にぶつけて下さい。諦めかけている方、大丈夫です。

 


独自アンケートと対話で人事ポリシーを固める

人事ポリシーの固め方は、①必要資料(組織図や従業員名簿など)を提供頂く ②独自アンケートに回答頂く×2回 ③アンケートを基に当方とセッション×2回 という3段階構成になっています。

事業拡大のために走り抜けてきた経営者の方にとっては、組織についてここまで立ち止まってじっくり見直す時間がなかったと皆さん仰られます。入退社も激しいため、自分の企業であっても意外と実態がふわっとしている感覚もお持ちのようです。エコ・ブレーンズ様におかれましても、設立から10年経過していますが、社長様自身が人や組織に対して自分の価値観を初めて棚卸されたとのことでした。自問自答を繰り返すのでかなりタフな作業だったらしく、「なかなか大変だったよ」と仰っていました。でも、組織を大きくするうえではここが重要なのです。自分が今まで目をつぶっていた点、人の好き嫌いの傾向、従業員への考え方などを自覚するためには、少々つらくても一度見直してみましょう。

さらに、私とのセッションの中でどういう組織を作っていけばよいかという未来像は固まると思います。実は、こちらの企業様では経営層がおらず、実質社長様一人で経営を担われておりました。そのため、このような経営や組織の相談は社内の人間にはできない、話せなかったようで、そのようなときに私のような第三者の存在が役に立ちます。一度言葉に出してみる、それを聞いた相手からの質問に対してさらに考えてみる、このやり取りは一人ではできないので人事コンサルを導入して頂く一番のメリットです。

但し、人事ポリシーの確定は従業員アンケートと面談を実施してからになるので、このアンケートと対話は下準備ということになります。従業員アンケートと面談については、また次の記事でご紹介したいと思います。

 

↓一部アンケートサンプルのご紹介です

 


企業がどこまで成長できるかは人事ポリシーでわかる

エコ・ブレーンズ様において、当初の社長様の価値観は組織構造をフラットのままにすることでした。社長様が組織内をまとめていく方向でずっと維持していきたいというものです。私は、そのやり方もこの規模の企業ではありだと思います。人事ポリシーの策定で重要なのは「うちのチームをこのように動かしていきたい」という方針があることです。ということで、第一ステップはクリアされていると判断していました。

そこから、第二ステップとして「組織を大きくしていくことに本気を出せるか」ということを見つめなおして頂きます。

事業を大きくしたいという想いは社長様は皆さんお持ちだと思います。但し、エコ・ブレーンズ様のケースでいうと「組織を大きくしたい」想いはありつつも、リーダーを置いてマネジメント権限を委譲していくことに社長様の中で抵抗が最後まであるように感じました。見えていた従業員の様子が少なからず見えなくなるわけですから、不安になるもの当然だと思います。

しかし、私との2回のセッションの中で、当初は組織体制や人事制度を変更するつもりはなかったそうですが、私との会話の中で人事制度の必要性を感じるようになったとのことで、踏み切ることとなりました。

従業員は組織の人間関係に敏感です。しかも、表向きには「階層なんかないよ」と伝えられていればいるほど、「じゃあ平等なはずなのになぜあの人だけ?」とか「自分たちは何を評価されているの?」と経営層に疑念を抱きます。

このずれに本気で対応したいと思うか、組織を大きくして事業を成長させることに本気になれるか、答えがでるまでセッションは繰り返しますので、ご安心ください。焦らずじっくりお付き合いします。

 

 

ブログ更新(リーダー育成失敗の本質)

ブログを更新しました。

リーダー育成失敗の本質

リーダー育成失敗の本質

コロコロ変わるリーダー像

とある企業様に対して、リーダー教育のためのご提案をしています。そちらの企業様は、近年組織が100人規模に急拡大したことから、組織を盤石にするために大きな予算を割いてリーダー層に対して教育投資をされているとのことです。地方中小企業ですが、ここまでリーダー育成に投資しているのは非常に素晴らしい取り組みで、リーダー育成の難しさをよく理解されているんだなと思いました。

どこの企業でもリーダー育成に失敗された経験はあるかと思います。もしかしたら、ずっと失敗が続いてしまっていることもあるかもしれません。リーダー育成をしたいと考えた時、真っ先に手を伸ばしてしまうのが「研修」かと思います。リーダー層を集め、外部から講師を招き、1日かけた研修を半年に1回行う。定期的な意識付けにはなりますし、現場から離れて現在の自分のチームを見つめなおす時間を設けることは無駄ではないでしょう。

ただし、育成を本気で成功させたいと考えるならば、順番を考える必要があります。下記の図で示すとおり、リーダー育成はステップをすっ飛ばすとうまくいきません。まず、経営層が「どのようなリーダーを求めてるのか」を定義付けし、経営層や育成実行部隊の中で共通認識として持つところから始まります。実は、これが年によってコロコロ変わってしまい、選抜者が毎年のように変わってしまう企業も多数見受けられます。

リーダー育成失敗の本質の一つ目はここにあります。「経営層が数年我慢してでも育成したいリーダー像」を共通認識を持つ必要があります。具体的に人を名指ししてもいいでしょうし、要件をあげてもいいと思います。御社に一番マッチするリーダーの要件、他社の人材との差別化要件を経営層が自覚するということです。

ファーストステップの要件定義は、最初にがっちり固めてしまうのではなく、走り出してから少しずつ修正をかけてもいいと思っています。また、人材育成は長期戦ですので、社会的なスタンダードが途中で変わってしまうということもあるでしょう。実際、リーダーに求められる資質は変化しています。がむしゃらに日本人が働いていた時代は「業績達成」「予算達成」を求められ、効率が重要視されていました。一方的な部下への働きかけです。現在ももちろん売上向上はリーダーの責任ではありますが、それ以外にも部下との信頼関係構築・コミュニケーション・人材開発など、チームマネジメントが求められてきていると実感します。

 


リーダーになれる人材は限られている

リーダー育成失敗の本質二つ目は、リーダー候補人材のポテンシャルの見誤りです。

今までの日本社会は、適性がない人でも年功序列という形で何らかのポジションを与えてきました。適性よりもその会社に深く根差し、その会社について十分理解していることに重きを置いたのです。年功序列・勤続主義の昇給は労働者が勝ち取った権利であり、これに関しては日本に誇る素晴らしい制度であったと思います。しかし、現代は先述のとおりマネジメントの難易度が上がっている。業績を追いかけるだけのリーダーではチームは回らなくなってしまっています。

私の個人的な意見ですが、リーダーに向いているかどうかは入社時点である程度決まっていると思います。それは、性格面の影響が非常に強いからです。例えば、発言しない大人しいタイプの人がミーティングを引っ張っていけるようになるにはかなり時間がかかります。そもそも本人のやる気の要素も大きく、よく一般的に言われるように人を変えるのは非常に難しい。リーダーシップを渇望していない方にトレーニングをしても効果は薄いと思います。

そのため、リーダーになれる人材(どの程度のレベルのリーダーになれるか)を見極めなくてはいけません。ここで道を誤ってしまうのが、「リーダーに必要な素質」は「優秀な部下である素質」とは若干異なります。「上司の言ったことを正確に実行できる力」と「チームをけん引して目標を達成する力」は実は全く別物です。それは、経営者とNO.2人材の性格が異なることを見ればわかると思います。

しかし、「昇格」というものは現在のリーダーから評価されて初めて候補として名前が挙がります。つまり、「いい部下」が昇格していく仕組みになっています。となると、いつまで経っても参謀タイプとリーダータイプが見分けられません。実は、上位の役職まで上がってしまった人の中にも意外と参謀タイプの方も多く、リーダーシップを部下に発揮するのが苦手な方も見受けられます。

また、部下を評価する際、リーダーは自分と似た人を選びます。自分自身が成功事例ですから、成功事例に則ることは人選以外の場面でもやりがちです。このやり方をやっていると、現在のリーダーの下位互換のような方が選ばれていき、組織に新しい風を吹かせることはできません。VUUCAと呼ばれる先行き不透明なこの時代、現在のリーダーが未来のリーダーの最適解とは限りません。むしろ、現在の会社全体に不足している部分から逃げずに向き合い、補ってくれるようなリーダーを育てていくことをする会社が生き残っていくのでしょう。社外にアセスメント(人材評価・分析)を依頼することは一つの策になります。

いかに次のリーダーをポテンシャルから見極めるか。社外に目を向け、社会の流れに沿った人材をピックアップできるか。ここが2つ目の要となります。

 


「経験を積ませる」の責任は誰がもつ?

リーダー育成失敗の本質の最後は、責任の所在がないことだと思います。

リーダーの選抜が終わると、次はどのような経験を積ませるかを計画し、対象者に経験を付与していきます。経験の付与は2つのパターンがあります。一つ目は現在の部署で今よりも負荷のかかるプロジェクトのリーダーを任せる、もう一つは経験を積むことができる部署異動をさせる、この2つです。

そして、どちらにせよ「経験を積ませる」場合、定点観測をする人・部隊が求められます。育成失敗しているときは、この「経験を積ませる」ことをその部署の上長に丸投げしているケースがほとんどです。すると、誰が責任をもって育成するかが分からなくなってしまい、育成されている状況が放置されてしまうことが多々発生します。それで「育成がうまくいかない」と悩んでいるのは非常にもったいない。必ずプロジェクトとして推し進め、責任を受け持つ人・部隊を置きましょう。

これは1つ目の失敗の本質にもつながりますが、実際に育成を任される現場の上司に育成すべきリーダー像が共有されないことも大きく影響します。人は放っておいたら自力で成長することは難しく、上司からの手助け・引き上げがあって初めて階段を登れるようになります。しかし、育成する上司側から考えてみてほしいですが、ただ育成計画を立てさせたり、ただ育成を任せるだけではこの上司に当たる人は何もモチベーションがありません。さらには、上司自身が異動・退職してしまうと育成プロジェクトの熱意を引き継ぐことは難しいでしょう。そのため、育成協力を上司側に説明し、上司のミッションに組み込むようにします。上司自身が評価される仕組みも有効でしょう。

さらには、選抜者本人にも意識付けが必要です。どのくらいの期間で、ここまでレベルアップしてほしいと会社側が期待を示すのです。「経験」という機会を付与していること、その機会を無駄にしないでほしい旨は何度も伝えなくてはいけません。これはモチベーションを上げるための意識付けですが、モチベーションを下げない工夫も必要です。「経験を積ませる」の多くは泥臭いことを経験が多いかと思います。自分のやっていることを見ていてくれるのか、中長期的に評価してくれるのかが気になる点ですので、上司が誰に報告するのかが明確に見える方がよいでしょうし、例えば上司が変わるなど不安要素が強くなる状況でも外部からの定点観測があれば、安心することができます。

 

以上の内容は管理職育成を想定しています。中小企業は限られた従業員数で成果を出し続けなくてはいけません。①まず育成人材の目標(リーダー像)を据える ②リーダーを担える人材を見極める ③経験を積ませている間の定点観測 この3つの本質を間違えなければリーダーは必ず育成できると言えます。これらは自社で具体的な育成内容はまた記事にしたいと思います。

 

ブログ更新(書籍紹介(組織デザイン))

ブログを更新しました。

書籍紹介(組織デザイン)

書籍紹介(組織デザイン)

<書籍情報>

■書名:組織デザイン

■著者:沼上幹

■出版社:日本経済新聞出版社

■どんな人向けか:組織の骨格を組み立てたい方、組織開発のハード面を学びたい方、分業と調整について学びたい方

 


事業成果を出す者は分業を制する

今回ご紹介する書籍は「組織デザイン」(沼上幹)です。

本屋さんで書籍を探してみると、組織の骨格や構造について端的にまとめられている本が少ないことがわかります(意外とこの分野の研究者が少ないのかもしれません)。そんな中、本書は新書であるにも関わらず組織構造について非常に詳しくまとめられています。本書の内容は、他の「組織論」や「経営論」の本に度々登場し、またか!?というほど引用されています。組織構造の章がまるまる本書の内容だったりするくらい超有名なので、すでにお持ちの方も多いのではないでしょうか。一冊読むだけで組織のハード面について網羅的に学ぶことができますので、組織開発初心者から玄人まで必読の一冊です。

さて、私がこの本を手に取ったきっかけは「組織構造」と「分業」の関連性に気づいたことにあります。現職で一部上場企業に勤めていますが、そこでは数年前から社長肝いりの企画が多数始動していました。社長指針を刷新したり、現場からボトムアップの形で小さな改善を活性化させるような取り組みを導入したりと、経営者が組織を活性化させようとしている雰囲気が社内に広まっていました。これは良い取り組みである一方、社長自身は自分の想いが社員の末端まで行き届いていないことを課題に感じていたはずです。人事として会社全体の組織改編を取り扱う中で、本当に今の組織形態が一番効率の良い形なのだろうか?人事として新しい形を提案できなくてよいのだろうか?と疑問を持つようになりました。

「組織構造」と「分業」は密接に関わっています。しかし、この対応を蔑ろにしているリーダーが意外と多く、チーム成果が出せていない組織ではこのどちらか(もしくは両方)がうまく機能していません。これは大所帯の企業も少人数チーム(私は3人からがチームだと思っています)も本質は同じです。崩れていく組織は布陣が曖昧なのです。なぜ従業員が自分の方針を理解してくれないのか、なぜ従業員は非効率に作業を進めてしまうのか、なぜ従業員同士がすぐもめてしまうのか…実は「組織構造」と「分業」が大混乱している証拠なのです。

最終的に作業や情報が滞りなく組織の末端まで流れていくことがめざすべき形です。そのために経営者やリーダーがやるべきことは何か。まずは「組織の骨格を再設計する」ことです。言い換えると、組織図を描き起こせるようなチームの状態を作ります。これは組織を牛耳る者しか担うことができません。いくらメンバーが組織の形を整理したいと思ってもできないのです。

企業はチームです。事業が伸びている企業は「分業」がうまく機能しています。自然発生的に機能しているのではなく、経営者が分業での成果の出し方を知っているのです。つまり、チームで成果を出す者は「分業」を制していると言えるでしょう。

 


ボトルネック工程を見つけ出せるか

本書は分業の理論的な考え方について学べる良書です。その中で読んでいて感じることは、分業は水のようだということです。作業工程を「フロー」と呼ぶくらいなので、まさに水の流れそのものです。

作業工程もスタート地点からゴール地点へと流れていきます。その過程で、詰まっているところ=一番時間がかかるところがあると途端にフローは滞ります。これをボトルネック工程といいます。皆さんもチームで仕事をする際に、「分担がうまくいかないな」と悩んでしまう箇所はないでしょうか。担当者同士がもめていたり、マンパワーが必要だったり、なぜこの作業をやっているかわからなかったり、そういう箇所や部署はまさにボトルネックなのです。

ボトルネック工程を排除することはできませんので、本書ではボトルネック工程の取り扱い方についても教えてくれています。

 

①ボトルネック作業があまり重要でない作業・部署だった場合 → 作業や存在自体をいかに小さくするか/注力するか/効率化するか

②ボトルネック工程が重要部署・重要作業だった場合 → 周りの作業を効率化し、いかにリソース(時間・優秀人材)を突っ込むことができるか

 

これができるかどうかだけでも組織の動きは全く変わってきます。本書で繰り返し述べられているのは、「ボトルネック工程と非ボトルネック工程を仕分けしてください」ということです。あなたの企業・あなたの組織が抱えている作業や案件を全て棚卸する必要があります。これは、片付けの手法と非常に似ています。片付けコンサルタントの近藤麻理恵(こんまり)さんが提唱されているこんまりメゾッドでは、まず部屋の中央に家の中にあるすべてのものを集めてきて、カテゴリごと(書類・衣服・本・小物など)にどれを残すか選別していくそうです。まさに、工程の棚卸もこの作業と同じことをします。

やり方が分かれば自分で片づけられる人もいれば、片付けコンサルタントに依頼して短時間で一気に片づける人もいます。「組織構造」と「分業」の整理も、短時間で一気に済ませてしまいたい場合は外部へ委託されることをお勧めします。ボトルネック工程が抽出できた後は、リソースの分配まで一気通貫で構築することが可能です。

また、片付けと組織整理の違いは、複数の人や部署が絡み合う点です。自分で決めればよいわけではなく、都度担当者のヒアリングが必要になります。何も聞かずに断捨離されたら現担当者は自分の人格を否定された気持ちになり怒り出す。つまり、気持ちにも配慮しながら進めなくてはいけない非常に繊細な作業です。事業を進めながら組織を整えるのは、難易度がかなり高いことが分かります。

事業が進んでいく中で組織について立ち止まれるか、飛躍するための準備期間を設けられるか。事業の成功は「組織構造」と「分業」を機能させる作業に掛かっている。本書を読んで痛感した気づきでした。

 

 

 

ブログ更新(従業員との対話、苦手としていませんか?)

ブログを更新しました。

従業員との対話、苦手としていませんか?