事業成果を出す組織を作るの実績紹介

10年前から始める「次世代の組織づくり」― 中堅層を大切にしない会社に、次世代はない

現在、人事制度構築~運用を支援させて頂いている企業様は、50代後半~60代の社長様が多く、自然と次世代の話が良く出てきます。

「まだまだ現役だけど、そろそろ次の世代のことも考えないといけない」

そうした企業様を支援する中で、人事制度づくりとは「次の世代の組織づくり」でもあるのだなとつくづく感じます。

息子様・娘様に継いでもらうのか。社内の誰かに任せるのか。それとも、別の方法を考えるのか。後継者をどうするかは、非常に重要な経営の意思決定です。

しかし同時に、人事・組織の立場から企業を支援している私の立場としては、もう一つ考えていただきたいことがあります。

その後継者が社長になったとき、会社を一緒に動かしてくれる組織はできていますか?

50人、100人と従業員がいる会社であれば、後継者一人を育てても、会社を承継することはできません。そして、その準備には、10年くらいかけても決して早すぎることはありません。

では、10年前から何を意識し、何を始めればよいのでしょうか。

今回は、人事・組織づくりの観点から、「後継者を支える次世代の組織」をどうつくっていくのかを考えてみたいと思います。

 


「社長」が交代するだけでは、会社は引き継げない

事業承継というと、まず思い浮かぶのは「次の社長に何を引き継ぐか」だと思います。

経営判断、顧客との関係、社内外の人脈、数字の見方。
もちろん、これらを次の社長へ引き継ぐことは重要です。

ただ、人と組織の側から事業承継を見ていると、私はそれだけでは足りないと感じます。
なぜなら、会社は社長一人で動いているわけではないからです。

組織は基本分業の考えで、社長も「分業」の担当者の1人なのです。いくらスーパー社長でも一人ですべてが務まることはありません。一人で務まるのであれば従業員を雇う必要はありませんし、従業員を雇っている以上は全員で分業しているはずです。分業体制はいくら仕組み化していても、その時その瞬間にその組織に所属している「人」に依存します。今いる人のレベル、人数、価値観によって組織は作られます。

そして、職位が上がれば上がるほどこの属人度は高まります。この頂点にいる社長ポジションがコピーのように引き継ぐことはできません。社外人脈も、リーダーシップも、社内の信頼関係も、営業も、財務も、すべて社長に依存しています。

そのため、社長が交代するということは、メンバーが変わらなかったとしても、事業と組織を新たに作り変えなければなりません。少なくとも、組織の動かし方は見直す必要があります。

事業承継で考えるべきなのは、

「次の社長を誰にするか」だけではなく、次の社長を含めて、会社をどう分業し直すか。

ということです。

これが一番難しい。組織作りの根幹です。抽象的な仕事が多くなるということは「引き継ぎ」にような標準的なテクニックで対応することができません。

ですが、逆に会社が変わるチャンスとも言えます。一極集中するのではなく、社長を支える分業体制を敷き直すのです。

たとえば、

現場の判断は現場責任者へ。
人材育成は管理職へ。
顧客情報は特定の人だけで抱えず、組織で共有する。
昇格や評価は社長の感覚だけに頼らず、一定の基準をつくる。
部署をまたぐ問題は、社長が毎回仲裁しなくても解決できる会議体をつくる。

こうして少しずつ、現在の社長個人が担っている「会社を動かす機能」を、組織へ移していきます。

私は、これも事業承継の一部だと考えています。

そして、その中で重要なことは同じ図を眺めて話し合いをすること、話し合った内容を残しておくことです。

そのために、現在の組織図を書いてみることをお勧めしています。どのように分析するかは下記ブログにまとめていますので、ぜひご一読ください。

その組織図、いつからその形ですか? ― 事業の変化から考える「組織」と「人事」

 


10年後の組織を支えるのは、今の30~40代

上記のとおり、企業の次世代を考えるにはトップのポジションのことだけ考えればよいのではなく、トップを中心としたその取り巻きや、トップに接続するポジション(支えてくれるポジション)を強くしなければなりません。

私が支援している50人以上の企業様では、30~40代の従業員というと管理職手前~管理職という位置にいます。

そして、このような企業様は共通しているのですが、「30~40代の管理職手前~管理職」の層の育成が薄いのです。ようやく育成し終えて一人前になった人材、すでに会社を支えてくれている人材が離職していくケースも見てきましたし、既に離職されてしまってごっそりいないというケースもよく見かけます。これは非常に危機的な状況です。

現在の組織を支えるという面でもこの層は重要です。それ以上に、事業承継まであと10年を見据えた企業にとっては、社長が交代した後の組織を支えるのは、現在の30~40代の従業員なのです。10年後を考えると今の30代は40代に、40代は50代になります。

組織体制強化の支援に入った時に、私は一番最初に中堅層の状況を分析させて頂きます。中堅層の状態がその企業の状態と言っても過言ではなく、いくら社長が事業についてピカピカのビジョンを語ったところで、日々の業務を背負っている中堅層がボロボロではその企業の行く末は察する通りです。

 

 

そして、人事施策の担い手は「管理職」です。

人事施策とは、採用・オンボーディング・定着・制度・労務・研修・育成・教育・マネジメントなど、人と組織の課題に対する対策です。

中小企業で人事施策が後回しになってしまう理由は、この人事施策の担い手がいないところに施策ばかりを当てはめてしまうことが要因の一つだと私は考えています。

例えば人が育っていない。では、育てる側の人は足りているのか?ということです。

私は人事に13年携わっていますが、人事施策は難しいと思う理由は企画者と実行者が異なるところにあります。

中小企業においては、社長や経営陣が人事について考えていることが多いと思います。企画が社長・経営陣となります。一方、実行者は組織をまとめている人、つまり管理職になります。この企画者から実行者へ施策の核(重要性が上手く伝承できない)ため、実行するときに熱が入らず自然消滅してしまうことがよくあります。

だからこそ、未来の組織づくりにおいて管理職は非常に重要な存在です。
ただし、「管理職が育っていないから研修をする」で終わらせてはいけません。
そもそも管理職に何を任せているのか。どこまで権限があるのか。どのように評価しているのか。管理職が人を育てる時間を持てているのか。
管理職本人だけでなく、管理職が機能できる組織になっているかまで見る必要があります。


中堅層を便利屋にしている会社は、次の幹部を失う

では、なぜ「30~40代の管理職手前~管理職」の層の育成が薄いのか。

これは私としては明確な答えが出ています。

まず一つ目は、これも多くの企業様とお話させて頂く中で感じることなのですが、中堅層がやる気を失っている。

具体的には、この会社での「将来に希望が持てないという不安」と「これだけやっても評価してくれないという憤り」を感じています。

中堅層は会社からみるとようやく戦力になってきた実力を持った人たちです。社内にもなじみ、上とも下ともうまくやっていく必要がある。新しいことを吸収することもできます。

この層が辞めてしまうことは会社にとって非常に痛手です。若手のサポートもできるし教育係もできる。ベテランのように怖がられることも少ない。ここが辞めてしまったら、いくら若手を入れても組織は再生していきません。

しかも、「失う」というのは、退職だけを指しているわけではありません。
在籍していても、10年間ずっと優秀なプレイヤーとして使い続ければ、その人が幹部として育つ機会を失います。これは非常にもったいない。

仕事ができるから難しい案件を任せる。
若手に慕われているから教育係を任せる。
現場を知っているからトラブル処理も任せる。
上司が忙しいから管理職の仕事も一部引き取ってもらう。

会社から見れば「頼っている」状態です。

しかし本人から見ると、

仕事量は増えているのに、役割は変わらない。
責任は増えているのに、権限は増えない。
後輩は育てているのに、自分のキャリアについては誰も話してくれない。

という状態になっていることがあります。

「頼られている」ことと、「将来を期待されている」ことは同じではありません。

そして「30~40代の管理職手前~管理職」の層の育成が薄い理由の二つ目として、育成の観点で言うと、管理職になるためには管理職以前の段階から育成しなければならないのですが、これが中小企業だと難しい。

なぜかというと、中小企業は会社をぎりぎりの人数で回しています。すると、自ずと全員作業者という位置づけで業務に当たる必要があります。私は、業務の中で経験することが一番の成長だと思っているので、これについては問題ないと思います。

問題は、作業者として現場にガンガン入ることはできても、「どのような現場に入るか」は作業者側はコントロールできません。ところが、日々ぎりぎりの人数で現場を回している会社では、どうしても「確実に仕事をこなせる人に、できる仕事を任せる」ことが優先されます。「やったことはないけれど、今後のために任せてみよう」というスキルアップは、意識的に仕掛けなければなかなか生まれません。

逆に、育成を経営課題として据え、育成機会を仕掛けていくことで中小企業の人材はどんどん伸びると私は考えています。何もしなければ10年後は現状維持。現状維持は衰退です。

ぜひ、積極的に育成を仕掛けていってほしいですし、今どのくらい仕掛けられるかが10年後の組織を作る最大のポイントとも言えます。

管理職育成については、こちらの記事にまとめています。ぜひご確認ください。

『作業者』と『管理職』の間には高い壁がある。「昇格候補者」の正しい育成タイミング

 


10年後、誰がこの会社を動かしていますか?

事業承継を考えるとき、「次の社長は誰にするか」という問いはもちろん重要です。

ただ、私はそこにもう一つ問いを加えていただきたいと思っています。

「その社長と一緒に、10年後の会社を動かしているのは誰ですか?」

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