2026年10月26日
人事制度を構成する等級制度・報酬制度・評価制度の3つの制度のうち、当社は等級制度から構築を始めます。(その前に、準備期間として組織診断を必ず実施させて頂きます)
これはコンサルタントによって色が出るところですが、当社はそのような順番にしています。
何故かと言うと、私は人事制度は「組織」を成長させるツールだと思っており、等級制度は組織の根幹に当たるからです。
では、組織の根幹である等級制度とはいったい何者なのか。
等級制度というと、「リーダー職は3~8等級」、「課長職は9~12等級」、のように職位や等級数を決めるだけではありません。
等級制度の一番大きな目的は、その企業にあった組織体制を部署横断的に整えていくことだと私は思います。
つまり、組織の階層化です。
人事制度の核である等級制度について、今一度記事にまとめてました。
等級制度は「組織の階層」を明確にする
等級制度は階層化であるという話をしました。
同じ規模の組織だったとしても、マッチする階層数は異なります。ここで混乱するのですが、階層は「職位」とイコールです。「等級」は「職位」をさらに細かく分割している一番細かい階層の分け方です。そのため、いきなり「等級」を決めに行くのではなく、「等級」の前段階での大きな括りである「職位」をまず決めていきます。
つまり、「職位」が組織の階層数となり、組織の縦軸となります。
例えば、上から①部長職・②課長職・③係長職・④主任職・⑤職位なしという職位で設定する会社があれば、5階層ということになります。
そして「等級」は、その「職位」の中で階段をさらに細かく設定する場合に設定します。「等級」はその後に設計する基本給のレンジや昇給の段階とも密接につながるため、基本給をイメージしながら等級を作ります。
この「職位」と「等級」の違いを意識しながら組織体制を作らなければいけません。

職位定義が、組織のすべての起点になる
私は、「職位」は組織のすべての起点になると思っています。
組織で起きる問題の多くをたどっていくと、「誰が何を担うのか」という職位・役割の曖昧さに行き着くことがあります。
従業員は、組織を構成する一員として動いています。
「職位」が曖昧な状態では、誰から指示を受けるのか、トラブルは誰に報告したらいいのか、誰が自分の評価をしてくれるのかといった基準も曖昧になってしまいます。
これらの指示系統や評価のルールこそ、「職位」という立場の上下がないとできないものでもあります。
そして、その「職位」を担える人を配置して初めて組織体制が整ったと言えます。
そのため、等級制度構築では、「職位定義」というものを作ります。
要するに、○○職を担う人は~~のレベルくらいまではなっておいてくださいよ、という遵守する人材レベルです。単に「このくらいできる人」という能力だけではなく、その「職位」で何を担うのか、どこまで判断するのか、誰に対して責任を持つのかを言葉にしていきます。「職位定義」は昇格基準であると同時に、日々の役割分担や評価の基準にもなります。
重要なのは、人事制度リリース以降、「職位定義」に基づいて昇格者を決めるということです。
「職位」が曖昧な会社は昇格ルールも曖昧です。実は若手~中堅層が辞めてしまう理由に、この「何を頑張れば昇格できるのか」が明示されていない闇雲さに疲れてしまうことが多々あります。ここをクリアにするだけでも、定着施策にもつながるため、「職位」は組織にとって重要な指標なのです。
ということは、職位定義がないまま評価項目や給与額を決めても、
「なぜこの人を評価するのか」
「なぜこの人を昇格させるのか」
「なぜこの人にこの給与を払うのか」
を説明できない状態になり、不公平感が払しょくできません。
よく間違えてしまいがちなのは、人事制度をつくるとき、最初に賃金表や評価表から手を付けてしまおうとしますが、それでは上手く制度を作ることができません。
等級制度とは、会社の中にどんな役割があり、社員にどのような成長を期待するのかを示す制度なのです。
賃金がつながって初めて等級制度は機能する
当社では、等級制度の次は報酬制度を作るようにしています。
ここはコンサルタントの色が出るところではあり、等級→評価→報酬という順番で作るコンサルもいると思いますし、書籍もそのように書いているものもあります。
私がなぜ等級→報酬→評価の順番で作るのかと言うと、「等級」は経営から従業員への守ってほしいルールの提示であり、「報酬」はそのルールを守ったらそれ相応の賃金を支払うという経営から従業員への約束です。そして、この2つが釣り合っていなければならないため、連続で作るべきと思っているからです。
もう一度言いますが、等級と報酬の天秤は釣り合っていることが必要です。
中小企業でよくあるパターンとして、「等級」だけ重たい役割を任せていたり、「報酬」が役割に対して少なすぎたりしますが、この状態のままでは人事制度全体が機能することはありません。さらに、この天秤が釣り合っていない状態で「評価」だけ取り入れたい、という要望は成り立たないことが分かって頂けると思います。何を担う人なのかが決まっていない。その役割に対してどの程度報いるのかも決まっていない。その状態で「では、この人をどう評価するか」だけを決めようとしても、評価の基準そのものが定まりません。

ここまでの話をまとめると、どれだけ立派な「職位定義」をつくっても、昇格した先で役割が増えるだけで処遇が変わらなければ、従業員から見れば「責任だけ増える制度」になってしまいます。
折角制度を導入するのであれば、「この会社は変わるんだ」と従業員の皆さんに実感してもらえるようにしたいと私は考えています。それだけ、人事制度というのは会社の根幹に関わる重みのある施策なのです。
因みに、一般的な賃金の水準を見るのも参考になりますので、全国データを見てみることもすると良いと思います。
市場賃金、既存社員とのバランス、役割差、人件費原資、将来の昇格設計などを見ながら、
この会社では、より大きな役割を担うことにどれだけの価値を置くのか
を報酬で表現していく。
この一本の線がつながって初めて、社員にとっても「この会社でどう成長し、何を担えば、どう報われるのか」が見えるようになります。
IGNITE HORIZONでは、人事制度の新設・見直しについて、組織体制や職位の整理から、等級・報酬・評価制度の設計、その後の運用まで伴走しています。
「制度はあるけれど、役割や給与とのつながりが曖昧」
「何から見直せばよいか分からない」
そのような場合は、お気軽にご相談ください。
カテゴリ:ブログ,人事制度(等級制度),人事制度(報酬制度)




