事業成果を出す組織を作るの実績紹介

採用するたびに、組織では「破壊」と「再生」が起きている

ご支援先の企業様とお話している中で、皆様採用と定着に苦戦されています。

多くの企業で、退職者が出るとすぐに求人広告を出します。人材紹介会社に年収の数十パーセントという高額な手数料を支払い、新しい人材を確保しようと躍起になります。正直、背に腹は代えられない状況も痛いほど分かります。私もかつて、何度もそのループに陥り、心身ともにすり減らした経験があるからです。

求人媒体の原稿を作り、面接を重ね、応募者の意欲的な言葉を聞いていると、どこか心が浮き立つものです。「今度こそ、組織を変えてくれる人材に出会えるかもしれない」「この人が入れば、今の閉塞感も打ち破れるはずだ」。採用というイベントは、経営者にとって、日々の苦しい運営から解放してくれる、一筋の希望の光のように見えるのです。

しかし、それは本当に「解決」なのでしょうか。

これは、単なる人員補充の話ではありません。組織の「生存戦略」の話です。
もし貴社が今、採用と退職のいたちごっこに疲弊しているのなら、少しだけ立ち止まって、この「採用による組織の破壊と再生」の真実について、一緒に考えてみましょう。


人員が1名増えることによる「破壊」

 組織というのは、1名入れることで一旦破壊されると感じています。 「人手が増えてよかったね」だけでは済まされないのです。

 これは、筋トレをした後の筋肉痛に似ていると思っています。

 まず、入社者はその組織に取り込まれるまでは「異物」です。何もせずポテンシャルが出てくることはありません。もちろん悪い意味ではありません。これは特に中途採用に当てはまりますが、どれだけ優秀な人材でも、畑が変われば芽が出るまでに時間がかかります。

この入社者が仕事を覚え、組織に馴染むまで、周りのメンバーに負荷がかかります。新しい人に仕事を教えなければなりません。やってみてもらった後に、二重チェックをします。教えるときにマニュアルがない場合は作成することもあるでしょう。入社者の失敗を受け入れる余裕も必要です。仕事ができる人ほど「自分の時にはこんな丁寧に教えてもらわなかった」と拗ねることはしません。

つまり、1人人が増えたとしても、既存社員の負担は大きくなり、生産性は一時的に下がるのです。

これをトップが理解している、「一旦生産性が下がってもいいから、組織の立て直しのために採用者育成に時間を使ってほしい」というメッセージがないと、既存社員は途方に暮れてしまいます。 私が見てきたチームでも採用→退職が立て続けに起きると、既存メンバーのモチベーションが明らかに低下していることをひしひしと感じました。

 


組織が「再生」し、強くなるには限度がある

 そして、底を乗り越え、「異物」だった採用者が組織に馴染むと、組織は強くなります。筋トレにより筋線維が破壊され、筋肉痛が起きていた筋肉が、筋肉痛が終わるとさらに強くなると言うわけです。

 しかし、あまりにも短期で破壊と再生を繰り返したり、元々の組織が耐えられない強度で破壊をしてしまうと、筋肉は再起不能になります。組織も同様で、退職→採用→退職→採用を短いスパンで繰り返すと、強くなるどころかどんどん悪循環が生じ、元の組織の体制も保てなくなります。最悪の場合、人員の入れ替わりを支えてきた教育係の既存社員が辞めることになります。

これは、一番避けなければならない事態です。教育係が辞めてしまっては、新しい人材を入れる事すらできなくなるからです。

退職が出たタイミングで

「なぜ辞めたのか」
「なぜ定着しないのか」
「なぜ今いる社員の力を十分に発揮できていないのか」

 これらを経営陣が自問自答しなければ、繰り返されるのは当然です。

 ところが現実には、その問いに向き合うよりも新しい人材に期待する方が楽です。採用は手ごたえがあります。会社の志望動機や自分の経験アピールを聞いているうちに、自社でどのような相乗効果を出してくれるだろうと期待が高まり、既存社員よりも求職者のほうが夢を見せてくれます。

次はもっと良い人が来てくれるかもしれない。
次こそ即戦力が入るかもしれない。
次こそ組織を変えてくれる人材に出会えるかもしれない。
そうして採用が、組織課題を解決するための希望の光のように見えてきます。

 私はこうした場面を見るたびに、「組織が再起不能になる前に、破壊と再生を終わらせなければならない」と感じます。多くの中小企業は退職者が出ると採用を考えます。これは人員を補填すると考えれば、全うだと思います。現場が止まらないようにするのは経営者の責任でもあるからです。しかし、人が辞めるたびに外へ答えを探しに行く、この社長の動きは本当に勿体ない。本当は今いる社員と向き合わなければならないのにと思います。

 

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