2026年11月02日
最近のブログ記事では「組織の骨組み」や「階層化」といったマクロな話が多くなってきたので、もう少しミクロな「チーム運営」についても書きたいと思います。
私自身も会社員として長く勤めているなかで、さまざまなチームに所属しました。そしてメンバーもリーダーも経験してきましたが、振り返るとどの立場でも「どうやったらチームでの成果を出せるか」を考えてきたなと思います。それだけ、「チーム」という形態に可能性を感じていたのだと思います。
そしてメンバーとリーダーのどちらの立場から考えても、「チーム」はコックピットに乗っている人、つまりリーダー次第だなというのが私の結論です。
メンバーだったころはフォロワーシップを発揮するのが自分の役目だと思っていましたから、「リーダーがリーダーシップを発揮してくれないと、私たちがチームのために行動する動機がなくなってしまうではないか!」と思っていました。折角チームあったはずのやる気がなくなってしまうこともありました。
リーダーになってからは、あの時のメンバーとしてやる気を失くしていたころの自分に対してマネジメントを提供している節もあるように思います。
あの時、リーダーにやってほしかったことを自分がやる。
この視点を持ったことで、私はチーム運営がかなり得意になりましたし、チームとして成果を出せるようになっていきました。(チームとしての成果とは?という話は後ほど書いています)
今回は、人事制度や組織構造といった大きな話から少し離れ、もっと現場に近い視点から、チームをまとめ、成果につなげるためにリーダーには何が必要なのかを考えていきたいと思います。
成果を出すチームを作る上での前提「チームは個人の集まり」
チーム作りで絶対忘れてはいけない原則があります。
それは「チームは個人の集まりだ」ということです。
こうやって聞くと当たり前に感じるかもしれませんが、なぜか経営やマネジメントポジションでチームを率いる立場になると、この原則がすっぽり抜けてしまう経営者やリーダーが非常に多いという体感があります。
例えば、全体会議や朝礼。メンバーを集めて全体に向かって方針やスケジュールを言う。これで終わり。課の定例会であれば、何となくこの1か月の振り返りをして、経営者やリーダーが言いたいことだけ言って、これで終わり。これで自分の方針や指示が伝わったと思っていたら大間違いです。
「チーム」は集められたらチームになるのではありません。それではただの「個人」の集まりです。
では、どうように個人の集まりを「チーム」に昇華していくかというと、逆説的ですが「個人の集まり」であることを前提にチームを作っていくことです。
人を集めて発信することに意味はあります。アメリカのトランプ大統領でさえ、自分の就任後の方針を発信する際には世界中に散らばっている外交・国防の重要人物をアメリカに召集し、演説を行いました。これだけの重要人物が一同に集まるのですから、旅費や護衛費などのかなりの費用と労力、防衛のリスクをかけて、この時の集会を開催したのだなと当時のニュースを見て思いました。
「人を集めて発信する」という手法は一撃必殺のようなもので、相当戦略を練る必要があります。
誰を集めるか、発信内容や時期などです。これを誤ると、もしくはさぼってこれらを練らないと、集まる人たちの労力と人件費が無駄になります。
ですが、この戦略を全く練らずに、リーダーが何となくの発信するために労力と人件費を無駄にしている事例はあちこちで見ます。週に1回や月に1回惰性で集まり、ぼんやり方針を言って、ぼんやり課題を共有して、あとは誰か動いて下さい。という流れです。
これでは正直、自己満足です。
これをやってしまっているリーダーは、リーダー自身が「誰に何を言えばチームが動くのか」確信がないのだと思います。これでは、メンバーは自分ごとになりません。全校集会の校長先生の話を全く覚えていないのと同じです。

では、どうすればよいか。
本気で伝えたいことがあり、本気で組織を変えたいと思ったら、個人一人一人へのアプローチが必要です。全体集会とは別で、地道で細かい取り組みを実施する必要があります。
まず、リーダーに「言いたいことがある」状態か確認してください。
実はこれも多いのですが、社長にしてもリーダーにしても「言いたいことがない」、もしくは「社員や部下に言おうとしていない」状況が現場で起きています。一つずつ詳しく見ると、過去に信頼関係がうまく構築できなかったのか、お互いがかみ合っていないのか、そもそもワンマンでプレイヤータイプなのかなどケースはさまざまですが、組織づくりの始まりは社長やリーダーからです。
例えば、打合せに関しても、規模や対象者を変えて何度も実施します。小規模の打合せだとしても、3~4人と1対1では受け取り手の意識が全く異なります。情報を伝えるとは、「あなたのことを信頼しています」というメッセージです。これを誰にどのタイミングで伝えるか、これはチームの中の個人をよく観察していないと答えが出ないと思います。
他にも、業務の分担やOJTの組み合わせなど、チーム内の人と業務をマッチングさせるのもリーダーの仕事です。社長は関係ない、と思うかもしれませんが会社全体で見た時に組織体制を作る、つまり組織図を描いて指示系統を作るためには、同じことをします。チームビルディングのセミナーでは、「リーダーは分析家になってください」と私は伝えています。一人一人を見て、長所や短所を頭に入れ、一番その人に効くやり方で想いや期待を伝えに行くのです。これが、成果を出すためにリーダーのやるべきことです。

「何がこのチームの成果か」をリーダーが定義する
先述の「一人一人へのアプローチ」と関連して、社長やリーダーは「チームの成果」を定義しなければなりません。
企業はビジョンが重要だという風潮はここ10年くらいで急速に広まりました。成果を出す企業はビジョン経営を行っているらしいという統計が出てきたことをきっかけに、それに倣って「経営理念」はお飾りの評語から会社の目指す旗として立てる必要性が広がっていきました。
私は、この「めざす旗」の必要性はチームも同じだと考えています。
個人が集まっている中で、どこに向かっているチームなのかは掲げておかないと、同じ方向に同じ速度で走っていくことができません。組織作りはどんな規模でも「ビジョン」が必要です。チーム運営の場合、ビジョンはそんな大それたものは立なくても大丈夫です。
明確に示すべきは、「このチームの成果は何か」です。
あなたのチームの成果はイメージつきますでしょうか。早く正確に作業することですか?隣の人を助けることですか?若手を育成することですか?営業で数字を上げることですか?
ここで成果と定義するものは、達成したら評価しなければなりません。評価とは、評価制度で評価に限りません。このチームのキーマンにするということです。「達成するのは当たり前」という態度をとってしまうと、それは成果ではなく前提ルールとして浸透してしまいます。
ここで間違えてほしくないのは、「全部大事です」で終わらせないことです。
全部を同時に強調すれば、示していないのと同じことです。発信内容は1~3つに絞ってください。そして、その絞った「成果」をひたすら繰り返し伝えて下さい。いつどんな時でもです。ぶれてはいけません。コロコロ変えてもいけません。常に同じことを繰り返し言います。
リーダーが言葉と行動の両方で、「本当にこれを大切にしている」と示していくことです。
資料をチェックするとき、打合せの始まりのとき、朝礼、1on1、ふとした雑談のとき、いうべき時はいくつもあります。
とにかく、メンバーが走る方向とスピードを決めます。これを実施いただくだけでも、チームの中の連帯感が変わります。

成果を出すチームは「ぼんやり」を許さない
上記、2点は私の経験をまとめたもので、自分のチームが成果を出せるようになっていった過程で有効だったことを書きました。
自分のチームで実践した具体例はまた別の記事に書きたいと思うのですが、チーム運営で必要なことの共通点は「ぼんやり」を許さないことだと思いました。
社長やリーダーの胸の中に明確な基準やビジョンがあったとしても、外に言っていなければないのと同じことです。また、明確なものがあるとしても、時期や場面によってコロコロ変えてしまっていては焦点が定まらず、結局ぼんやりしてしまいます。
組織を見ていると、人は一貫性を求めているのだなとつくづく思います。
一貫性があれば、部下は社長やリーダーが言いそうなことが想像できるようになる。すると、社長やリーダーが承認してくれそうな方向に動くようになります。これが、意思決定の浸透であり、成果を出すチームの自立性だと思うのです。
組織改革はリーダーから始まるというのが私の考えです。地味ですが、この積み重ねが「個人の集まり」を「成果を出すチーム」に変えていくのだと思います。
※「ぼんやり」を許さないという観点で、業務の線引きもチーム作りに非常に重要です。下記別の記事にまとめていますので、ぜひこちらもご一読ください。
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