2024年06月13日
リーダー(経営者、マネージャー)がやるべきこととして、「業務の境界線を引く」ということがあります。
リーダーは組織として成果を出すことを求められます。組織で一丸となって成果を出せば、個人で動くことでは到底達成し得ない、大きくて幅の広い成果を得ることができます。しかし、それはただ待っていれば自然と成果が降ってくるようなものではありません。組織として最高の成果を出すためには明確な戦略が必要であり、その戦略の土台となるのが、まさに「業務の線引き」ということになります。
それをもっとマクロな視点で見ると、経営者にとってみれば組織のハコを作るための組織改編ということになります。規模は違えど、これも現場のチーム内の業務分担とやっている本質はまったく一緒です。「今いるメンバーで成果を最大にする」ための効率を徹底的に追い求めて、組織の括りや分担を変えるアプローチなのです。
私は、組織運営やチームマネジメントが上手くいっていない企業・チームは、この「分業(業務の線引き)」が上手くいっていないことが根本的な原因だと考えています。そして、周りのリーダーを見てみると、「境界線を引く」ことが下手なリーダーが多いように感じていたので、今回重要性を解説してみようと思います。
事業を発展させるリーダーに必要なのは「チームデザインスキル」
経営者やリーダーに身に付けてほしいスキルに、私は「チームデザインスキル」を一番に挙げています。複数人で成果を出すためにどのように分業していくのかを設計(デザイン)できるスキルのことです。
チームは生きています。3か月前に良しとしたチーム内の業務のすみわけが、3か月後にそのままでよいということにはなりません。新しい業務が増えていたり、突発業務に対応していたり、繁閑の波が来たりと、リーダーが気づかないところでチームは日々変化しているのです。
そのため、チームの成果>個人の成果にするには、チームを定期的に観察し、調整を繰り返していくことが求められます。
手順としては3つあります。
① 業務量と担当者を把握する
チームデザイン・業務の線引きというと、いきなり業務分担表を見つめだすリーダーがいますが、手順が間違っています。まずは分析です。リーダーはチームの分析家になる必要がありますので、ここに時間を割いて下さい。そして、先述で「チームを定期的に観察」と書きましたが、ただ様子を見守るのでは意味がありません。
チームを構成する要素は「業務」と「人」です。この2つの側面をすべて洗い出し、棚卸リストを作成してみましょう。
人については、メンバーについて以下の要素を一旦リストに書き出してみてください。
- 部下の過去の経験
- 得意不得意
- 性格
- リーダーシップの特徴(上長は、部下に元々備わっているリーダーシップを見極める必要があります)
業務については、以下の要素です。
- 担当者
- 難易度
- 簡単なフロー
- 誰が他にできるのか
これらのリストを3カ月に1回、更新してください。業務はできればメンバー自身に棚卸させるべきです。これらはリーダーの大切な資源の見える化となります。

②作業を標準化する
そして、分担する前にこちらも必ずやってほしいのですが、作業を標準化します。①でやった業務棚卸リストを見て、引き継ぎ書(マニュアル)に起こせるかどうかをイメージします。すべての作業を実際にマニュアルにしなくても大丈夫です。
業務の線引きを引き直すということは、業務の配置変えが発生します。ということは、引き継ぎが必要になります。
そして、引き継ぎはチーム内で破壊と再生が行われるので、メンバーに負荷がかかります。これは、破壊と再生自体が悪いのではなく、むしろこれを意識的に引き起こさないと硬直したチームが柔軟に対応できるようになることはありません。ぜひリーダーはここは恐れないでほしいと思います。
ただし、前任者・後任者ともに一気に負荷がかからないよう事前に準備しておくべきです。そして、一番揉めやすいのは、引き継ぎ側の「手順が決まっていない」「担当者の感覚に頼っていたり、頭の中で完結している」場合です。引き継ぎされる側はこれが一番ストレスになります。標準化されていないと、後任者に丸投げの状態になってしまいます。必ず、線引きを引く前に、作業を標準化してください。そしてメンバー同士で対応できない場合は、リーダーが介入するべきと思います。
③業務の線を引く
分析と標準化が終わってようやく業務の線引きを決めるフェーズになります。
「チームデザインスキル」は、会社全体で考えても必要な視点です。組織は一度作ったら終わりではありません。事業の発展に合わせて少しずつ変えていくのです。特に、人数が少ない企業ではぎりぎりの人数で経営しているでしょうから、効率の悪さ(ボトルネック)は致命傷です。放ったらかしにして、市場や事業の変化に合わせたサービスやプロダクトを展開しようとしても、組織が手遅れで対応できないことがあります。
業務の線引きは、①で実施した2種類の棚卸リストを基に、「業務」と「人」をマッチングさせていきます。ここで重要なことは、前例にとらわれずに線を引き直すということです。
業務分担はその時のチームの「業務量」と「人の習熟度」によって変えるべきです。「今までこの作業は一人でやっていたから」「この作業とこの作業は繋げないといけないから」など、今までのやり方に先入観を持っていると、「業務」と「人」が変わった時に柔軟に対応することができません。そのため、現在のチームを冷静に見つめて業務の線引きを決めて下さい。

「チームデザイン」の一歩はチーム分析から
私は「チームデザイン」は、先述の①チーム分析が占めていると考えています。
ぜひリーダーは自分のチームがどのように分業しているか現状を洗い出してみてください。付け加えてポイントをお伝えすると、この半期に出てきたチームの課題や取り組んだことをメンバーに面談するとよいと思います。これは仰々しい「打合せ」ではなく、カジュアルにヒアリングして頂けば問題ないです。分析を実施するだけでチームの全体像が見えてきます。
新しいプロジェクトを発足させる場合は何もないところに分担を割り振るので比較的分かりやすいですが、現在回っているチーム内で業務分担を振りなおす、もしくは組織改編を実施するというのは非常に難しいです。
一番の難関はメンバーの反発です。
人は慣れたものを壊し、新しい環境に再び慣れるまでに時間がかかります。業務を回しながら新しい状況に慣れていくにはストレスがかかるものですよね。リーダーがあまり業務の線引きを引き直そうとしないのは、メンバーの負荷を増やしたくないという想いが強いからだと思います。ですが、現在の業務分担や組織配置で何か問題が生じているはずなので、経営者・リーダーは腰を据えてその「問題」改革に乗り出せるか。これがチームをかえられるかうかだと思います。
以下の「チームデザイン」に関するおすすめ書籍をブログで紹介していますので、ぜひそちらも御覧ください。
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